PlayStation mk2 :: PS4/PS3/PS2評価レビューサイト

GOOD!

グラフィックは目を見張るほどのクオリティ。
よくここまでいい仕事をしたなと感心した。本当に素晴らしい。
グラフィック的にはとても高度なレベルで世界を構築できていると感じた。
しばし立ち止まってそこにある世界の美しさを堪能したいと思うことも何度もあった。そして見れば見るほどよく出来ていることに気付かされる。グラフィックそのものがひとつの作品として成立できるクオリティだと思う。

詰まることなくサクサクすすめられるゲームデザインも親切といえば親切。
シナリオもマップも一本道だが、普通に進めていけば不要な経験値/金稼ぎなどすることなく、きちんとクリアできるつくりは良い。

BAD/REQUEST

まずシナリオが最悪。これは本当に商業作品として公開すべきレベルを大幅に下回っている。
いったいどうしてこうなってしまったのかと本当に疑問に感じる。全く面白いと感じられなかった。

キャラクターにも魅力を感じられない。キャラ同士の結びつきもわからず、なぜ一緒に戦っているのかすら分からない。

グラフィックだけは見事だが、肝心の世界観自体がしっかりと構築されていないせいか、そこがどこでなぜそこにいるのかなどの理由付けが希薄で、製作者の都合のいいように場面転換を繰りかえすばかり。敵も同じで、機械的な体を持ったモンスターが多いが、なぜ半分機械化されている獣がいるのかなどは語られることはない。

戦闘について、システムは良いのだがバランスの取り方が悪い。敵の体力が多すぎて、雑魚でも戦闘に時間がかかる。
ブレイクまで持っていければ爽快感もあるのかもしれないが、そこに至るまでがつらすぎる。
レベルを上げてサクサク倒したいと考えても、章ごとに強化の上限が決まっているので、それもままならない。
また逃げることができなかったり、敵の出現数が決まってしまっていることもストレスにつながる。
ここまで戦闘が面倒くさいと感じたRPGも珍しい。

よく言われる「一本道」だが、確かにこれは本当に一本道。よくここまで自由度を制限したなと感じる。制作する側は調整する手間が省けて楽だったことだろう。
11章以降、ある程度行動範囲が広がるが、それはあくまでようやく普通のRPGと同様に色々な箇所に移動できるようになっただけの話。それまでが一本道であることの言い訳になるものでは全くない。行ける箇所もかなり限られており、大きな不満は依然として残る。

サウンドについては良い点も悪い点もあるが、個人的にはあまり好みの方ではなかった。
特に軽い女性ボーカル入のフィールド曲などが流れてくるのは安直に感じてしまった。

COMMENT

FFの最新作。HDに対応した最初のFF。とてもわくわくしてプレイに望みました。
しかしFF13はそのような期待に応えてくれるようなものではありませんでした。

このゲーム全体を通して、ユーザに楽しんでもらいたい、というクリエイターの気持ちが全く感じられません。
潤沢な資金と時間をもってして、制作側のつくりたいようにつくっただけなのではないでしょうか。
これは誰のためのゲームなのでしょう。誰を楽しませるためのものなのでしょう。
スクエニは日本を代表するゲーム会社のひとつであり、FFはその看板ソフトだと思うのですが、なぜこのようなレベルのものづくりをしてしまうのでしょうか。

グラフィックはとても素晴らしいです。世界に誇れるレベルではないでしょうか。
しかしそれ以外の要素の完成度には疑問を抱きます。
特にシナリオは本当に悲しくなるほどにクオリティが低いです。ライトノベル好きの中学生の処女作と考えればそれなりに納得できる感じもしますが、実際はいい年をした大人がプロとしてお金をもらってこれを書いたのでしょう。とても信じがたいです。

これは想像でしかありませんが、FFの開発体制自体がどこか歪んでいるのではないでしょうか。
ネームバリューではなく、きちんと実力のあるスタッフをしかるべき位置に配置していくようにしなければ、また次回もお金と時間の無駄遣い、そしてさらなるブランドの失墜を招くことになる気がします。

楽しみにしていたゲームでこのような思いをさせられ、とても悲しい気持ちになりました。
厳しいレビューになりましたが、FFが好きだからこそ、どうしてこうなってしまったのかという気持ちで書きました。
次回作にこそ期待したい、でも正直とても不安です。
もしかすると、僕らが愛していたFFというブランドは、もう死んでしまっているのかもしれません。

プレイ環境：42インチ HDTV