PlayStation mk2 :: プロ野球スピリッツ2011 レビュー

プロ野球スピリッツ2011 レビュー

発売元	コナミデジタルエンタテインメント（オフィシャルサイト）
発売日	2011/04/14
価格	7,980（税込）
レーティング	【Ａ】全年齢対象(CERO について)
ショップ/リンク	Amazon
タギングトップ3
タイトル概要	■ ジャンル：プロ野球 ■ プレイ人数：1人

オリジナリティー	グラフィックス	サウンド	熱中度	満足感	快適さ	(難易度)
3pt	4pt	1pt	4pt	4pt	4pt	2pt

総合点
73pt

GOOD!

・ペナントモードの充実
　キャンプ時点における全支配下選手収録はもちろんのこと、20年化、人的補償もあるFA、ドラフト、覚醒15段階化、経験値システムによる選手の成長や衰退…
　前作までと比べ、非常にやり応えのあるペナントとなった
　ドラフトでの獲得選手も前作までのような能力がめちゃくちゃな選手は修正され、リアリティある個性的な選手が増え、既存選手も衰退するため獲得のしがいもあり、戦術にあった選手を獲得し、成長させる楽しみも増えた
　FA宣言も現実と同じくらいの頻度で行われ、自球団に残ることが最優先な宣言であったり、別リーグに移籍したい、活躍の場が欲しい、等があり、程よい移籍バランスに収まっている

・見た目
　好みの問題もあるが、個人的には順当進化だと思う
　フォロースルー等の選手の挙動などはかなり良くなった
　特に三振を奪ったときや四球を選んだときはより嬉しく感じる

・能力仕様の変更
　守備適性が一目で分かるようになった点が非常に大きい
　前作までは総合値から判断するしかなかったが、これにより選手起用の選択肢がより広がったように思える
　能力99段階化で選手の個性もより強く表現出来るようになった
　デフォルト状態では個別能力での最高値99を持つ選手が居ない点もオリジナル選手であの選手より凄い○○を持っている、等の妄想も可能な意味で非常に良い

BAD/REQUEST

・査定
　基本は昨年の成績が主な今年度予想値となってるはずだが相変わらずおかしい
　折角の能力99段階化も全く活きない
　昨年度盗塁阻止率リーグ3位の城島がスローイングと肩が共にA、1位の阿部がDとC、2位の谷繁はBとDとなっていたり
　24盗塁機会で20成功という高い成功率を昨年出した赤松が盗塁▼1、14回中9回成功の城島には何もなく、2回中1回成功の金本に盗塁△1が付いていたり
　他にもデータと照らし合わせて明らかにおかしい点は多くあり、挙げだすときりが無い

・FA
　現実にはFA宣言選手の残留を原則認めていない球団があったり、FA取得前年に複数年契約による引き留めがあったりするが、そういう要素が皆無なのが惜しい

・打撃バランス
　前作までとミート打ちによるヒットの打てるバランスが大幅に変更されているように感じる
　慣れればミートでも前作並にヒットは打てるようになるが、前作までの経験者は慣れるまでが大変だと思う
　また、強振においてもある程度パワーがあれば芯を食えばホームラン、外れれば凡打、というやや極端なバランスになっているように感じる
　芯でしかなかなか飛ばないとされる統一球のバランスを再現しているのかもしれないが、極端すぎる

・AI
　AIレベルを少し高くすると、走力に関わらず盗塁やエンドランを頻繁に仕掛けてくるようになる
　スタートに気付いてから外すのは容易なので、楽にアウトに取れてしまうし、だからと言って放置するとこっちがピンチになる
　前作では最高難度のみだったのでそんなに気にならなかったのだが、今作ではそういう点をどうにかするには走塁AIをかなり低く抑える必要がある
　走力の低い選手へのけん制頻度もおかしく、走力の高さとけん制頻度が逆に設定されているのでは無いだろうかと思ってしまう
　また、AIとは少し違うかもしれないが、COMの守備陣形が明らかに左右逆な点がたまに見受けられる
　左打ちの選手の引っ張り警戒で二塁手が2塁ベース近くにいてセンター返しを普通に取るのはおかしい
　現在打者が左右かではなく自軍投手の利き打席でも参照してるのでは無いだろうかと思ってしまう

・スターダム
　何がしたいモードなのかがわからない
　選手になりきるのなら5完にあった20年スターダムを復活させて欲しい
　春には2軍クラスなのが秋には超一流とか意味がわからない
　1年しか出来ないのに、チーム編成による移籍や1軍2軍入れ替え、起用法変更すら反映されず、アップデート直後くらいしかリアルな方向性の1年を送ることすら出来ないと思われる
　もちろんIF要素の方向性も微妙
　能力の高い選手作成はこのモードをやれば簡単だが、時間もかかるし、そういう需要はスピリッツモードを充実させることで行うべきことだと思う

・スピリッツの劣化
　カードによる育成が軒並み消滅
　それによりマイナス能力を持った選手作成の自由度も大幅に低下
　覚醒もカードではなく、勝手に与えられたポイントで上げるのみ
　現実にありがちな、守備の人が覚醒による打撃開眼で一流選手に、といった感じの選手作成がカード制削除の分配ポイント制のおかげで実質的にほぼ作成不可能だと思われる

・サウンド機能
　実況解説や、応援曲を個別に消せるのは良い点だが、応援曲をわざわざ個別に消したい人は恐らく鳴り物やメガホン応援が嫌いだったり、アメリカ的な野球の雰囲気を楽しみたいからだと思われる
　しかし、観客のメガホン叩きの音は「歓声」という項目に観客の歓声と一緒にされているため、歓声ごと消さなければメガホン音は消えない
　しかも「歓声」には審判の声まで一つにされている
　細かいところの配慮が全くなされておらず、非常に残念な点である

COMMENT

不満点は非常に多いが、基礎がしっかりしている野球ゲームで、最も重要なペナントモードが大幅に進化したことは素直に素晴らしいと思う
不満点もアップデートによりある程度修正されることも期待できる

しかし1年スターダムやスピリッツの劣化からも、スポーツゲームでよくありがちな、脳内妄想でせめてゲームだけでは…な需要は完全に無視している点は残念

しかし、メインであるペナントモードの進化が素晴らしいので、野球が純粋に好きな人にとっては総合的に高いレベルで満足できるゲームであると思う