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GOOD!

以下、オフラインのみ・難易度ブロンズ（最も易しい）でクリアした時点での感想です。

・オリジナリティー
ひたすら敵を倒すなどして、強い武器や防具等のドロップに
期待するゲームです。その結果として強い敵が倒せるということは
ありますが、敵を倒すことよりは、ドロップによりいい武器を
手に入れたり、スキルや技によるキャラメイクを楽しむゲームです。
これが面白いバランスになっているから素晴らしいのですが、
面白い面白くないを別にしてもこうしたゲームはあまり他に例が
ないと思います。特にPS3では。世界観の凡庸さを
考えても基準点プラス1点の価値はあると思います。

・グラフィックス
オープンワールド型ということでそれほど目を見張るものでは
ありませんが、PS3のRPGとして及第点のレベルはあります。
小道具などの細かな部分までよく描かれていて好印象です。
マップもただ広いだけではなく建造物やちょっとした
オブジェクトがちりばめられており、製作者は楽しんで
この箱庭を作ったのだろうなと想像させてくれます。
また、洋モノめいたバタ臭い雰囲気や、ドギツイ色彩などは
意外と少なめでした。

・サウンド
普通です。BGM、効果音ともに印象には残りません。
ただこのタイプのゲームは、長時間やりこむために
「不快でない」というのは重要だと思います。

・熱中度
自分は武器集めよりはまず膨大なクエストをこなしていったのですが、
かなり熱中できました。クエストも戦闘もおおむね作業ですが、
面白い作業だと感じました。いい意味の作業ゲーです。

・満足感
ものすごい数のクエストでおなかいっぱいです。
これからまた別のキャラでも作ろうと思います。
しばらくはこれで遊べそうです。

・快適さ
細かい部分に不満はあるので後述しますが、
全体的に大きな不快感はありません。
ロード時間も気になりませんでした。
アイテムを無為に捨てるのではなくスクラップによって
一定のお金が入ってきたり、
レベル差が大きい（実入りが少ない）敵は
攻撃してくる頻度が下がるなどの配慮は嬉しいところです。
操作系も慣れると使いやすいですね。

BAD/REQUEST

・オリジナリティー
世界観やストーリーはよくある汎用量産型ファンタジーです。
SFが加味されているのも洋モノにはよくありますね。
そのへんのオリジナリティーはあまりありません。
オブリビオンは「王道」でしたがこちらは「汎用」です。
また、ややメタ的な要素もけっこう含まれているため、
世界観に没入するというよりは、一歩引いたところから
「ゲーム」としてプレイする、という感じが強い作品です。
オブリビオンやフォールアウト3のようにこちらから
住人や世界にアクションできる要素は少なく、自由度は
そこまで高くありません。

・グラフィックス
これも上記に従って、普通のファンタジーです。
普通といっても「普通の洋モノ」なので、
特にキャラのデザインはそれ臭さ全開です。
アニメ調のキャラが好きな人には受け容れられないでしょう。
それにキャラメイクといっても外見はほぼ既存のもので
固定されているので好きなように変えることもできません。
また、オブリビオンのような壮大な美しさはありません。
視点もおおむねトップビューかクォータービューに近い
もので固定といってよいでしょう。真横すらほぼ無理です。
風景を眺めることはあまりできません。
ただしゲーム自体がそのような志向ではないので
これはこれで狙ってやった結果なのでしょう。
綺麗なのはいいですが、個人的にはもう少し控えめで
処理が軽くなった方がいいですね、このゲームでは。

・サウンド
戦闘時に妙なロック調の音楽がかかるのは不要だと
思いました。敵に会うたびぶつ切りで流れたりするので。
また、BGM自体が少なめです。新しいエリアに入るときに
流れるイメージソングみたいなのはけっこういいものが
あったので、もうちょっと前に出してもよかった
気がします。ただ「気にならない・不快で無い」ことを
追求した結果であれば文句はありません。

・熱中度
本作は作業ゲーです。この作業に熱中できるかが
評価の大きな分かれ目でしょう。クエストはほぼ100％
おつかいで、ダンジョンに仕掛けなど皆無です。
アイテム集めも作業。考える余地はキャラメイク
くらいでしょう。この作業が個人的には心地よかったので
熱中できましたが、熱中できない人にとっては
それこそ駄ゲーレベルの作業の山になりうることが
予想できる、そんなゲームです。

・満足感
クエスト・アイテム集め・キャラメイク、
これらの要素に熱中できなかった場合は
満足感はゼロであると思われます。

・快適さ
これはいくつか書きたいところがあります。

キャラクターの多い場面で処理落ちが起こります。
私はクリアまでありませんでしたがフリーズもあるようですね。
最低難度だったため敵の数が多くなく、近接戦闘系キャラだった
ため魔法等のエフェクトがなかったのが幸いしたようです。
それでも「これで敵が増えたら確かにフリーズもありうるな」
というレベルの処理落ちがありました。

膨大なクエストがあるため仕方ないともいえるのですが、
クエストにおいてフラグ立てのミスらしい部分があり、
目標アイテムが出なくなったり、失敗したクエストが
いつまでも存在していたりします。ただほとんどは
サブクエストのもので、ストーリー進行に必須の
メインクエストでのバグには遭遇しませんでした。

クエストやアイテムのインベントリ画面で、
かなり表示が縦に長くなることがあります。
完了済みクエストやヒーローチェスト（倉庫）を
探すときに面倒なことがあります。
ソート機能が欲しかったところです。
またアイテムをスクラップや売却しているときに
軽く処理落ちしたり、ボタン連打の結果、
残したいものまで処分してしまうこともあります。
慎重にやればいいだけですが、何かもうひと工夫あっても
よかったような……。

広大なマップはところどころにワープポイントが
ありますが、もう少し数が多くてもよかったと思います。

ポーズ機能がありません。
個人的にはこれがいちばんの不満点かもしれません……。
オンラインプレイ前提の作りのようなのでしかたありませんが、
敵に囲まれた状況だとトイレにもいけません。
装備の整理をやってる最中でも容赦なく殴られます。
完全なオフソロプレイの時くらい、
装備画面での停止はこの際なくてもいいので、
単純なポーズくらいはあってほしかったです。

全体的に説明が不親切なように思います。
キャラメイクも多くの要素は一度やったら
やり直し不可なのにもかかわらず、説明書やゲームプレイだけでは
理解しづらい面も多くあります。

・難易度
簡単といっていいと思います。ただしこれは最低難易度の
「ブロンズ」での話です。ブロンズでプレイした限りでは、
死亡したのはラスボス直前の1回だけでした。
簡単な理由として、まず回復ポーションがものすごい数が手に入る。
ポーションはタイムラグありの100％回復ですが、それがもう
入手品の半分はこれなんじゃないかと思うほど手に入ります。
10本や20本使うのにためらう理由がありません。一発で殺されない
限りはボタン連打で切り抜けられます（私は油断して死にましたが）。
こういう調整の仕方はちょっと……と思ってしまいました
（レベル上げ作業をひたすらさせられるよりはいいかもしれませんが）。
戦闘も、技やスキル等で、よほどとんでもない失敗をしなければ
なんとかなるバランスではないかと思います。
ただし、これらも、私が近接格闘キャラということで無理の効く
部分もあったのかもしれません。魔法主体のキャラだと
難易度がどうなるかは不明です。また難易度「シルバー」以上では
敵の強さもかなり上がって行くようです。
それと、情報wiki等を見て技やスキルのバランスを考えているか
いないかでは、かなり難易度に差が出ると思われます。
簡単にクリアしたい方は初回からのwiki閲覧をおすすめします。
ストーリー的なスポイル要素は多くありませんし。
クエスト等の謎解きはほとんどありませんので簡単以前の問題です。

アイテムドロップはランダム要素が強いようですが、
ダンジョンの奥の方の箱とか、ユニークボスキャラとか
倒したら、高レアリティのアイテムが1個くらい手に入っても
いいんじゃないかな……と思いました。

COMMENT

久々に満足できたゲームでした。
しかしこれほど他人にすすめるのを
迷うゲームも久しぶりかもしれません。

このゲームは作業ゲーです。
壮大なストーリーなんてほぼ無いですしムービーもほとんどありません。
キャラ萌え要素もちょっと薄着なエルフさんとか以外は皆無です。
考える要素は、多彩なスキルや技、レベルアップによる能力ポイントを
組み合わせ、いかに自分のスタイルに合った能力を構築するか、
それくらいでしょう。それさえも考えるのは基本的に最初期だけで、
あとは設計図の先の理想形に向かってひたすら強化を繰り返していくだけです。
モチベーションとなるのは、うまく設計が狙い通りに決まった
ときに見せる抜群の強さ。
魅力であるアイテム集めも作業。雑魚やボスを狩る作業です。
戦闘も複雑なシステムではない分面白味も強くありません。
モチベーションとなるのは、ポロッと敵が落とした良装備。
それによってさらに強くなる自キャラ。
あるいはものすごい量のおつかいクエストをちまちまクリアしていき、
恐ろしいほど広いマップをちまちま埋めていく作業、また作業……
それこそが世界の運命なんぞよりも大事なことなのです。
オンラインもできるゲームですが、オフからして実にネトゲ的な
作業要素の強い作品です。

こうしたキャラメイクやアイテム集めをはじめとする作業に
魅力を感じない人には、まったくもっておすすめできません。
その他の余計な要素がほとんどないためです。
しかしそれらの作業要素は非常にバランスよく心地よくまとめられて
いると思います。よって、ハマる人は非常にハマるでしょう。
まさに「人を選ぶ」、このゲームほどこのタグがぴったりな作品は
はじめてかもしれません。
自分の場合しばらくハマって、飽きて放りだして、またやり始めて
ハマって、50時間と少しでようやくクリアしました。
率直に言って8000円近い額を出してまでやってほしい、とは言い難い
作品でしたが、今の3000円弱の値段なら、ちょっとギャンブルして
みても損はしないかもしれません。
期待値でいえば、プラスになる可能性の方が高いのではないでしょうか。
うーん……でもやっぱり、動画とか、体験版とかがあるなら、
それを見たりやったりしてからの方が無難です、間違いなく（笑）。

未購入者の方に言いたいことは以上ですが、個人的な感想として。
私は本作プレイにおいて多くの時間をクエストに費やしてきました。
しかし本作のクエストはマジでおつかいです。これほど純粋な
おつかいゲーは他にないでしょう。依頼を受けたらマップ上のマーカー
に歩いていき、アイテムを拾ったり敵を倒したり、それだけです。
考える要素は全くありません。マーカー通りにすすめばそれで解決です。
クエストを探しだすことの方がまだ考える部分があるでしょう（笑）。
それでも私がそれにハマったのは、クエストログの文章が面白かった
からです。ログには主人公の独白か日記のようにクエストの展開が
記されて行くのですが、それがなかなか小気味よくて面白い。
クエストの結末に皮肉っぽい感想を残すこともあれば、
感謝されて単純に喜んだりもする。すべてテキストなのですが、
そこから主人公の人となりを垣間見ることができ、
クエストを消化していくにつれて「皮肉屋で悪人を殺すのはためらわない
ところもあるが、だまされやすい単純な面もあり、根は優しくおひとよし」
というたいへん好感の持てる（笑）主人公像が形成されていきました。
主人公キャラはガチムチ肉弾系の半分死んでるオッサンなのですが、
最近やったゲームではいちばん好感が持てて愛着のある主人公に
なったかもしれません……（笑）。綿密なストーリーだけでなく、
こういう部分からもキャラに愛着を持てるのだと、ちょっと
驚き嬉しく思った次第です。このプレイはライト（光・正義）ルート
だったので、次のキャラはシャドウ（闇・悪）ルートのちょっと
えっちなエルフおねえさんでやろうと思います。受ける印象も
違うものになるか、楽しみです。

そうしたログも含め、翻訳が重要な役割を担っているわけですが、
スパイクさんはいい仕事をしてくれていると思います。ログのセンスある文の
訳はもちろん、テキスト部分で必要なものはほぼ完全に、なおかつ
一定以上のレベルで訳されているといってよいでしょう。
音声が未翻訳なのは残念ですが、本作においてはボイスはそれほど
重要な要素ではありません。主人公の独り言や街の人の世間話の
理解に必要なだけです。聞いた感じではそれほど難しい英語では
なかったので、慣れた人ならリスニングも簡単かもしれません。
スパイクさんは佳作級の（あるいは、万人受けしなさそうな）
洋ゲーをよくローカライズしてくれる貴重なメーカーさんだと
思いますので、これからもぜひがんばってほしいと思います。

本作は製作スタッフも非常に楽しんで作ったような感触を
受けて好印象でした。例のムービーなんて力入りすぎですね（笑）。
メタ要素もそうですが趣味要素も全開です。
個人的には、このシステムで純SF的な世界観のゲームを
やってみたいですね。もちろんファンタジーであっても、たまには
こういう心地よい作業ゲーが出てきてほしいと思います。