PlayStation mk2 :: PS4/PS3/PS2評価レビューサイト

GOOD!

【オリジナリティー】
　王道ＲＰＧと唱っていましたが、単に王道という言葉に頼らず新しいものを追及しようという気概が見られました。
　“主人公が大きくなって敵を倒す”という今作の核となる“変身システム”を筆頭に、追い詰められた特定の敵まで巨大化変身する“アドベントシステム”や、
　小鼻の高さやエラの厚さなど膨大なパラメータを調整できる“キャラクターエディットシステム”や、積み木感覚で作った街を拠点にオンラインで他のプレイヤーを呼べる“ジオラマシステム”などなど。
　クエスト・採集。合成などのおなじみのシステムに加え、とにかく思いついたら色々突っ込んでみようという開発スタイルは好感が持てました。

【グラフィックス】
　ムービーシーンの完成度は高く、リアルタイムレンダリングにおいてもPS3としては及第点でした。
　特に関心したのはキャラクターの表情です。前述のキャラクターエディットは特に顔面にエディットの項目が集中しており、それこそ千差万別の顔を生み出すことができますが、どんな顔を作ってもしっかり違和感のない表情ができる点にこだわりを感じました。
　また、西洋甲冑に未来的なデザインを融合させた各種白騎士のデザインは、エフェクトも相まってなかなかにかっこよかったです。個人的にはベルトで変身するアイツが好きです。ベルトから好きです。

【サウンド】
　特筆すべき点はありません。
　心に残る音楽もなければ、不快に感じる音もありません。世界観にマッチしていたとは思います。

BAD/REQUEST

【熱中度・満足感・快適さ】
　戦闘システムに関して……
　行動ゲージと移動を用いたRPGにしてはアクティブな戦闘が可能であるにも関わらず、それらがほとんど戦略に絡まない点に不満を感じました。
　ほとんどの攻撃は一度ターゲットを取るとどれだけ距離が離れても当たる（攻撃範囲の概念がない攻撃）ものだったり、敵味方が互いの横を素通りできるために前衛と後衛の概念がなかったりと、“待機中に自由に動ける”という独自のシステムが生かされていません。
　RPGの定義からは少し外れますが、リアルタイムストラテジーのように立ち回りや位置関係を戦闘システムに深く絡めていけば、ぐっと面白くなったと思います。

　ジョブに関して……
　各ジョブの性能差が薄いです。
　全てのジョブには斬撃・打撃・刺突の三属性の基本攻撃がそろっており、弱点に合わせてその三属性の攻撃を使い分ける。戦闘中に考えることの大半はこれです。
　片手剣だとうと斧だろうと、きるかたたくかつつくを考える。魔法使いであるならば、もやすかひやすかしびれさせるかを考える。要求が安直なので、どのジョブを選んでもやることが似通っています。
　もっと攻撃力・攻撃範囲・攻撃の出の早さや隙などに極端な性能差をつけたり、特殊技やパッシブスキルを増やして役割を明確化させれば、そのジョブならではの戦略ができて戦闘が盛り上がると思います。MMORPGであるならば尚更です。

　サブイベントに関して……
　壮絶なおつかいイベントの嵐です。
　ほとんどはどこかの誰かに話しかけるを繰り返すだけという機械的な内容となっております。思考することは何もありませんし、○ボタン連打で済むのでNPCの話は一切聞いていません。
　せっかくのサブイベントなのですから、ストーリーで収まりきらない細々した設定を語って欲しかったです。各キャラクターのバックストーリーや本編とは関係ないトラブルなど、キャラクターに感情移入できるようなブレイクポイントがあれば良好でした。

COMMENT

　前作未プレイです。
　相当数の酷評が集まっていたので怖いもの見たさに買ったのですが、存外に楽しめてしまったので良い意味で期待を裏切られました。小難しい話を避けた勧善懲悪のベタベタストーリーや、「変身！」と叫んでポージングさせるお約束の変身シーンなど、あからさまに狙った特撮ヒーローものへのオマージュは思わずニヤリとしてしまいます。子供の頃にヒーローものを見て育った方は、感慨深いものがあるかもしれません。
　しかし、他のレビュアー様がおっしゃっている通り『光と闇の覚醒パート』部分の手抜きが目立ち、本作をフルプライスで購入した前作経験者の皆様の気持ちを察すると心が痛みます。感覚としては続編というより追加パック。高くても2980円くらいで売るべき『白騎士物語　〜猛将伝〜』とか『白騎士物語Ｇ』の立ち位置です。
　今後のアップデートで、ボリュームの追加やバランスの調整が行われることに期待です。