【PS3】ARMORED CORE V(アーマード・コア ファイブ)
発売元 | フロム・ソフトウェア (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2012-01-26 |
価格 | 7800円(税込) |
レーティング | 【B】12才以上対象 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:メカカスタマイズアクション ■ プレイ人数:1人(オンライン時 同時戦闘:1〜10人/チーム人数:1〜20人) |
GOOD!
・壁蹴りジャンプが楽しい。
今作で刷新された「壁蹴り」アクションですが、簡単操作で派手な動きができるので、まるで自分が凄腕ランカーになったかのような感覚になれます。プレイ中意味もなく飛び回ったりしてしまう程気持ちいいです。
・フリー対戦は快適にプレイできる。
出来の悪さで話題になっている今作のオンライン要素ですが、フリー対戦に限定して言えば、快適にプレイできました。テキストチャット関連で一部使いにくいと感じる部分もありましたが、それ以外のシステムに不満はありませんでした。ただ、対戦ルールに疑問を感じたので後述します。
・でたらめな設定のOW武器が魅力的。
多くのデメリットとともに搭載できるOWは迫力充分で、今作で追加された要素の中では珍しく評価できる点だと思います。その強さはもちろん、形状の説得力が凄いです。
・エンブレム&デカール作り
購入前は「パーツを組み合わせて絵を作る」という仕様に疑問を感じていたのですが、いざやってみると案外手軽に凝った絵柄を作成することができ、またデカールにすれば好きな位置に貼りまくれるので、カラーリングとあわせれば本当に個性的なACを作ることができます。
BAD/REQUEST
・オンライン周りが壊滅的にダメ
もう皆さんが書かれているのであえて細かくは書きませんが、本当に酷い。
長々とストーリーミッションをプレイし、やっとミッションクリアしたと思ったらサーバーがトラブっていて接続できず「ミッション結果を破棄します。」の1行でそれまでのプレイ全てを無にされた人も多いのではないでしょうか。開発された方々はローカル領域にセーブなんか絶対にしてくれないその仕様を、玄人好み、難易度が高い、昔のゲームはこんな理不尽さだった、等の文言に置き換えて賞賛しろとでも言うのでしょうか。
ただ、傭兵を雇うとマッチングに失敗しやすい点などは配布がアナウンスされているアップデートパッチでなんとかなるかもしれませんが、領地関連はマッチングの問題以前に、企画の段階で完全に失敗しており、開発に際してこれに疑問を呈す人間が誰もいなかったのか、そして実際に作ってテストしてみて、それでも領地の取り合いを目玉にプロモーションを展開したその根性に、少し戦慄を覚えました。
・傭兵プレイ後の徒労感
傭兵でプレイすると他の人のストーリー攻略や、領地戦などを助けることが出来、見返りにお金と傭兵ランキングの評価が得られます。しかしこのゲーム、基本的に後半はお金は余りまくります。いったんパーツの買い物が落ち着くと、あとはもう使い道が無いんですね。仮にお金が足りない状態だとしても、傭兵は金稼ぎの選択肢にはなり得ません。ストーリーミッションやオーダーミッションで遙かに少ない労力で傭兵の何倍も効率的に稼げますから。
傭兵ランキングも評価の付け方が極端で、例えば必死に援護して倒されてしまった傭兵より、ミッション中なにもしないでぼーっと立っていた傭兵の方が高い評価を得られます。ちなみに先述した必死に戦ってやられるようなプレイを数回繰り返すと、見事にランキングが落とされます。これは雇い主ではなく、あくまでシステムが自動的に評価します。つまりランキングを上げようと思えば、いくらでもずるいやり方が許され、真面目なプレーヤーが馬鹿を見る仕様で、やっていて徒労感を憶えます。
・付属ヘッドセットのミュート機能
このゲームには初回分特典としてヘッドセットがついています。オンライン多人数プレイが売りの今作ですから、これを使って楽しくプレイしてくださいという配慮です。ただ、ミュート機能がボタン式で非常に使いづらい。ボタンは本当にただ押すだけのボタンで、ONOFFで高さが変わるわけでもなく、LED表示がついているわけでもなく、今ミュート機能がONになっているのかOFFになっているのかがわからないという気の利いた1品となっています。ちなみにXBOX360版に付属するヘッドセットはスライドスイッチ式となっており、ひと目ひと触りで即座にミュートのONOFFが把握できるようになっています。おそらくPS3ユーザーは目視できなくとも、超感覚でミュートの状況が分かる超能力者的ななにかだという判断なのでしょう。残念ながら私はその能力を持ち合わせてはいませんでした。これは完全に私のせいなのかもしれないですね。
・フリー対戦のバトルロイヤルルール
フリー対戦はいくつか対戦形式が用意されていますが、このバトルロイヤルルールに関して少し疑問に感じます。要は傷無く生き残った者が勝者、というルールなのですが、結果として最後まで戦闘に参加しないで隠れていたものが勝利する、という事になってしまい、下手をすると誰もまともに戦わない状況にもなり得ます。特にポイントがかかるランキングマッチはその傾向が強く、隠れる逃げ続けるプレイが散見されます。「バトルロイヤル」とはそういうものだと言ってしまえばそれまでですが、もう少し積極的に戦闘できるルールにした方が良いのではないかと感じました。
COMMENT
長々と書きましたが、最後に。
このソフトをプレイしていて終始感じたのは、
「他人の時間を拘束することに対する配慮のなさ」
です。
例えば領地決戦をする為には、対戦相手が現れるのを待つ必要があります。出撃予定の数人で同じ画面を眺めながらひたすら待ちます。待った後、対戦相手が現れる保証はありませんが、待ちます。
領地決戦に傭兵をつれていくこともあるでしょう。
傭兵とは基本的に見知らぬ他人です。見知らぬ他人を上記の待ち時間に付き合わせます。今作では傭兵とはテキスト、ボイスにかかわらず意思の疎通が出来ないようになっています。雇い主が何時まで待つつもりかはわかりません。傭兵が何時まで付き合ってくれるつもりなのかはわかりません。でも待たされます。
BADの欄にも書きましたが、長時間かけてやっとクリアしたミッション。そのクリアのタイミングでサーバが落ちていたら、その成果は問答無用で「破棄」されます。クリアにかけた時間全てが無になります。しかも「破棄」という言葉があたりまえのように使われています。「破棄」です。プレイヤーが費やした時間を「破棄」してくれます。
よく、ゲームをプレイすることは時間の無駄であるという人がいますが、私はそうは思いません。
ただ、この作品は時間を無駄にします。プレイした結果、つまらなかったので時間の無駄だったとか、そういうことではありません。上記の通り自分と他人の時間を無駄にするシステムが搭載されています。もちろん、そのシステムを利用するかしないかはプレイヤー次第です。フリー対戦だけやるならば、現状では快適にプレイできますし、待ち時間を意識することもそんなにないでしょう。しかし、今作を100%味わい尽くそうと思えば、売りである領地戦をやろうと思えば、嫌でも時間を無駄にすることになります。時間を安易に浪費するその姿勢は、私には作品への自信の表れというより、驕りに感じられました。
かつてフロムソフトウェアの作品は、私にとって「信頼できるゲーム」でした。一見取っつきにくい作品でも、やりはじめると楽しく、結果として一定以上の満足感を与えてくれると信じていました。その信頼は今作で踏みにじられました。でも、考えてみればそれが当たり前なんですね。失敗作の無いゲーム会社なんて無いのが当たり前なんです。今後は他社の製品と同じく、購入に際しては細心の注意を持ってあたることを決意しました。そんな当然のことを気付かせてくれた今作、勉強になりますので是非プレイしてみてはいかがでしょうか。