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【PS3】The Elder Scrolls V: Skyrim(ザ エルダースクロールズ V: スカイリム)

発売元 ベセスダ・ソフトワークスオフィシャルサイト
発売日 2011-12-08
価格 7980円(税込)
レーティング 【Z】18才以上のみ対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon(Legendary Edition版)
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:RPG
■ プレイ人数:1人

【Legendary Edition(レジェンダリーエディション)版】
■ 発売日:2013/06/28
■ 価格:7,140円
通常版のDLCと同内容です。



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
4pt 5pt 3pt 4pt 4pt 3pt 2pt
総合点
76pt

GOOD!

The Elder Scrollsシリーズの第5作目がこの『スカイリム』です。

The Elder Scrollsではタムリエルと呼ばれる巨大な大陸が物語の舞台となっていますが、『スカイリム』はその北方地方であり、雪と氷河に閉ざされた反骨気風の大地です。
人種(NPC)は様々なタイプが暮らしていて、民族や個人がそれぞれに崇拝する神や、また都市内では人種差別や首長の利権を巡って互いに争う人々も見受けられます。

プレイヤーはそうしたスカイリム地方の生活に密着しながら、冒険者として洞窟や祠を探索するもよし、メインストーリーに沿ってスカイリムの救世主となるもよし、反乱軍・解放軍のどちらかに所属してスカイリム地方の戦乱を平定する英雄になるもよし、各ギルドに所属して各々の道を極めるもよし、などの冒険を楽しみます。

【世界観を表現するビジュアル】
雪の大地スカイリムの寒さ、厳しい自然への畏怖を感じるような、とても美しいグラフィックスが、このゲームの最大の魅力と言えるでしょう。
生え立つ樹木や河の流れ、雪山を襲う吹雪や堅牢な壁に守られた城塞都市などは、国産RPGで最高峰の映像をつくるFFシリーズと目立った落差はありません。
また、前作『オブリビオン』ではNPCの顔がかなり残念でしたが、今回のグラフィックスは格段に進歩して、NPCの表情がとても美しいです。
洋ゲーにありがちな筋骨隆々な体躯で、アニメ的なイケメン・美女ではありませんが、人間本来の不細工さや不格好さに親しみを持つとともに、自然な人間らしさを感じます。
また、ダンジョンの表現が前作よりも上がりました。どこを見ても同じ風景の一本道的なダンジョンではなく、それぞれのダンジョンに合った雰囲気づくりや差別化がなされています。
これによって、ダンジョン探索だけでも楽しめる作品に昇華されたと感じます。

【各種ストーリー】
メインストーリーをはじめ、豊富なサブストーリーやギルドストーリー、戦争ストーリーに秘宝ストーリーなど、やりきれないほど数多くの物語が用意されています。
メインとギルドと戦争が、主だったストーリーになると思いますが、それだけをやりこんでも70時間から100時間はかかると予想されます。
国産RPGのように伏線を張りまくりで物語にぐっと深みを持たせるという形ではなく、物語の骨子の部分だけを描いた、シンプルなストーリー運びとなっています。
RPGをストーリー重視で楽しむ方は、スカイリムのあっさりさに、すこし肩すかしを喰らうかもしれません。
ただし、各ストーリーはシンプルであるが故によく練られており、ストーリーに絡んでくるキーパーソンや民族や宗教の問題をゲーム内で知り始めると、ストーリーの意味がよく分かり、大変楽しめます。
世界の成り立ちやバックボーンを知るのも、スカイリムの楽しみ方のひとつです。

【戦闘】
高度な駆け引きは特にありません。
物理攻撃と魔法攻撃、それとシャウトと呼ばれる特殊能力を使って、目の前の敵と単純な殴り合いをするだけです。
コマンド入力が好きだ!ド派手な技で爽快感を得たい!という方には、かなり物足りない戦闘になるのではないかな、と思います。
シャウトはそれぞれに色んな能力があって面白いシステムです。
単純に火炎や凍結で敵を凍らせたりするものから、突風の力で超スピードの移動をしたり、透明人間になるもの、動物を召喚して代わりに敵を攻撃するもの、などがあります。

【キャラクターの成長】
今作では戦闘以外にもプレイヤーのレベルを上げる要素が存在します。
例えば、NPCと会話する話術という技能や、鍵のかかった扉や宝箱を開けることで上昇する開錠技能、魔法を使用することで幻術・回復などの技能が上昇します。
技能(スキル)の上昇に伴い経験値が入手でき、一定以上の経験値を溜めると、レベルアップします。
レベルアップすることでスキルポイントが入手でき、ポイントを消費することで、各種スキルが持つ特殊効果を開放することが可能です。
開放する特殊能力を選ぶためには、ある程度のスキル上昇が必要なものがほとんどです。
ですから、自分の冒険に必要なスキルを高めておくことで、そのスキルで得られる能力がどんどん増えていく仕組みとなっています。
ただし、レベルをMAXまで上げても、すべてのスキルは入手できません。
キャラクター育成システムは、画一的な最強キャラを作ることは不可能ですが、良い意味で差別化となっていると感じました。

【日本語の吹き替え】
なかなか良いです。
訳がところどころ間違っていて、「ん?」となる部分もありますが……。
NPCとの会話は翻訳本を読んでいるような節の取り回しとなっていますので、流麗な日本語を期待しないほうが良いと感じます。
また、笑いどころが分からない海外的な冗談なども多く、逆にそれがある種の会話の楽しみともなっています。
重要なのは、英語会話の日本語字幕に比べて、長時間プレイした際のストレスが違うということです。耳に優しい日本語会話なら、長時間プレイも苦にはなりません。

【カメラワーク】
FPSとTPS方式があります。
私はほぼTPSを使用していました。
プレイ自体にはどちらも支障がありませんが、本棚に並べられた本を読むときや、テーブルいっぱいに置かれた小物のひとつを取りたいときは、細かい焦点が当てられるFPSを利用していました。
R3ボタン押し込みでいつでも視点変更できるので、ストレスはありません。
前作では中途半端なTPSでしたが、今作では格段に視点が見やすくなっています。
プレイヤーとバックカメラの距離を任意に設定でき、一番近距離ではFPSの肩越しカメラ程度、一番遠距離ではプレイヤーの周囲ほぼすべてを眺めることができます。
TPS視点で見るスカイリムの世界は、とても繊細かつ美麗です。

BAD/REQUEST

悪い点や改善点をいくつか列挙していきます。
ですが、どれも些末なことではあります。

【ありあまる洋ゲーらしさ】
国産RPGの美男美女や濃厚なストーリーを期待して買うと、期待が外れてゲームのモチベーションが上がらなくなってしまいます。
また、前述しましたが、会話の取り回しが洋ゲーらしすぎて、翻訳会話に馴れていない人はかなりストレスを感じるのではないかと予想されます。
FF・DQ・テイルズシリーズなどの国産RPGの代名詞とは、もともと方向性が異なるものだと考えて購入して頂いたほうが、無難かと思います。
国産RPGが作家によく練られた小説を読むスタイルとすれば、スカイリムは小説に必要な基本の要素は用意されているので自分で小説を作ってください、というようなスタイルです。

【没入感】
これがスカイリムのプレイでは必須です。
会話をするNPCや話しかけてくるNPCは、会話途中で自分がぴょんぴょんジャンプしたり、言葉を無視して先に進めたりもします。
これらをあまりにやってしまうと、次第にRPG感は薄れていき、このゲーム本来の醍醐味が薄れてしまうと、私は考えています。
それぞれの人の言葉に耳を傾け、RPGらしく振る舞ったほうが、スカイリムの世界に没入することができると感じます。

【ドラゴンについて】
スカイリムで人々に畏怖されるドラゴンは、メインストーリーの大きな要となっている存在です。
ですが、その名に見合う強さではありません。
下手をすると、そこらのダンジョンに籠っている盗賊のほうがよっぽど強い始末。
ストーリー上で必ず倒さねばならない存在だからこそ、誰にでも倒せる強さに調整したのかもしれませんが……。
もうちょっと強いドラゴンがいても良かったのかな、と感じます。
戦闘の難易度調整が上手くいかなかった印象を受けます。

【フリーズ】
広大なマップと膨大なテキストを擁するこのゲームならではですが、フリーズや処理落ちを割と頻繁に起こします。
フリーズは10時間に1回程度ですが、処理落ちは画面上が敵だらけになったり、自動セーブが行われるときに発生しがちです。
自動セーブをONにしておけばこまめにセーブしてくれて、万が一のときにもすぐやり直しが効きます。
データの重さは増しますが、自動セーブONを強くおススメします。

【アイテムについて】
今作では入手できるアイテムが膨大であり、ひとつの名称を取り上げてもそれぞれに効果が異なっていたりします。
道具は重量制限まで持ち歩け、持ち運べない分に関しては、家屋を入手すればその宝箱にストックしておけます。
ただ、道具欄のソート機能がないのが非常に残念です。
ただでさえ荷物の種類が多いので、もっとソート機能と見やすさを重視して欲しかったと感じます。

COMMENT

32型テレビ、HDMI利用。
前作オブリビオンもプレイ済み。
オブリビオンはグラフィックののっぺりさ加減や洋ゲー臭・有り余る自由度にあてられて、途中で挫折しましたが、スカイリムは充分に楽しむことができました。

良い点、悪い点ともにいろいろと書きましたが、ここに書かれているレビューを読んで、タムリエル大陸のスカイリムという地方に興味が湧いた人には非常におすすめだと思います。
今作はZ指定(18歳以下は購入不可)ですが、表現上の描写だけではなく、実際のプレイが満足に楽しめるのは、ある程度RPGに馴れた18歳以上の方ではないでしょうか。
RPGをはじめて遊ぶ、という人にはあまりおススメはできません。
国産RPGのお約束やプレイに馴れてから、スカイリムをプレイすると、その自由度とともにロールプレイングという意味を本当に理解することができるでしょう。

洋ゲーは食わず嫌いをしていた私ですが、スカイリムをプレイして、がらりと洋ゲーに対する印象が変化しました。
宗教や歴史、土地と民族など、深く考え抜かれた世界観と設定の土台があるからこそ、The Elder Scrollsにはオンリーワンな魅力があるのだと考えます。
プレイだけではタムリエルの背景や歴史が理解しづらいと思うので、最初のプレイに馴れてきたら、ネットなどを利用してこれまでのThe Elder Scrollsの物語や、タムリエルの別地方の宗教や生活スタイルなどを調べてみると、より一層、スカイリムを楽しめると思います。

初心者優遇の万人向けとは決して言えませんが、国産RPGに馴れてきた方や、RPGをこよなく愛するゲーマーの方には、是非一度プレイして頂きたい良作として、ここにレビューを締めさせて頂きます。
お読み頂いて、ありがとうございました。

   
プレイ時間:30時間以上60時間未満(クリア済)
みぐみぐさん(Webサイト)  [2012-08-03 掲載]

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総合ポイント
76
(難易度)
2.41
レビュー数
56
スコアチャート The Elder Scrolls V: Skyrim(ザ エルダースクロールズ V: スカイリム)レビューチャート

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