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【PS3】二ノ国 白き聖灰の女王

発売元 レベルファイブオフィシャルサイト
発売日 2011-11-17
価格 8800円(税込)
レーティング 【A】全年齢対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon(廉価版)
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:ファンタジーRPG
■ プレイ人数:1人

【オールインワン・エディション】
■ 発売日:2012/07/19
■ 価格:3,980円
通常版にDLCを同梱した廉価版です。



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
4pt 5pt 3pt 4pt 4pt 2pt 3pt
総合点
73pt

GOOD!

※DS版未プレイ

<世界感>
とにかくジブリの世界感をしっかりとゲーム内で表現しているのがこのゲームの最大の高評価です。
”もののけ姫”の大自然と”ナウシカ”の死の森などを連想させる”ニノ国”フィールドの各所やダンジョン。”魔女の宅急便”を連想させる”一ノ国”の街並。
そして、”千と千尋”や”ハウル”を連想させる個性あふれるキャラクターや、妖精の住む森、魔物(ゲーム内ではイマージェン)の数々。挙げれば切りがない程です。
ネタバレを多少含む為、詳細は避けますが、他の作品を連想させるシーンもここぞとばかりにムービーで演出されています。

また、ゲーム内で各ページを収集する本(ゲーム内ではマジックマスターと呼ばれる)がありますが、これが実に細かく良くできています。システムメニューからこの本のページを閲覧することができ、本物の本を読んでいる感覚でプレイすることができます。(初期特典では実際の本が同梱されています)
本の内容も考えられていて、ただの図鑑や地図と言った使い方ではなく、”二ノ国”のこれまでの物語や世界感が、実によく設定されたものであるとわかる出来に仕上がっています。

更に、ゲーム内のクエストや謎解きに本の内容に関連することを織り交ぜることによって、ともすると閲覧さえしてもらえないであろうサブコンテンツを、うまくメインストーリーに利用している点も高評価でした。


<ストーリー>
主人公は自分のいる世界から、ファンタジーの世界へと母を救うために旅立ち、その世界で出会う人々と互いに成長し世界を救おうとするという、王道ファンタジーものですから、それ自体には何の特徴もないかもしれません。
しかしながら、ストーリーのメッセージ性や背景などもジブリ作品と共通するものがあります。ネタバレを含まざるを得ない説明になりますので割愛します。

<戦闘システム>
主人公達の扱う魔物(イマージェン)に戦闘させることもでき、本人達が戦闘することもできます。(但し戦闘に参加できるのは、本体も含めて1体のみ)

更に、一人につき3体まで戦闘中に自由に入れ替えることが出来る為、近接物理型、遠距離魔法型、回復支援型、盾型等などの魔物のスキルや特徴を生かして育成し、状況に応じて入れ替える、あるいは、パーティー全体を攻撃型と防御型に入れ替えるシステムを駆使することで戦術の幅が広がります。
自分の所持している魔物には、得意なものと弱点属性が存在し、各ダンジョンやフィールドに出現する魔物は属性に偏りがあり、各ボスにも弱点属性がありますので、(一部例外は勿論あります)通常攻撃に属性を付与する武器や属性に対する耐性をつける防具やアクセサリーを場所に応じて持ち替える、或いは魔物を入れ替える等の戦略的な面での幅もとても広いです。

<DLC>
追加クエスト、ゲーム内消費アイテムの配布が現在までに3回あり、全て無料です。

娯楽産業である以上、一定の利益を上げるための事情はあるにせよ、有料DLCを取りそろえ本編がおざなりなゲームも多い中、とかくRPGにありがちな有料衣装やメインコンテンツの希薄さを埋めるべく有料追加コンテンツを販売するといったような真似をしてないところは、とても好感を持てました。

BAD/REQUEST

<戦闘システム>
GOODでも紹介しましたが、もう少しシステムを練っていれば、更に面白かっただろうという点が2点ほどありました。

自分の操作(コマンド入力できるキャラ)は、常に1体です。どれを操作するかは任意ですが、操作しているキャラ以外は、AIに頼らざるを得ません。
AIにある程度の方向性を示すための攻撃・防御のシフトチェンジと作戦の設定ができますが、この作戦に致命的な欠陥があります。
作戦が、行動・ターゲットの2種類しか決めることしかできないというのがまず一点目です。

行動は「全力・自由・援護・回復優先・MP消費しない・何もしない」の5つ
ターゲットは「リーダーと同じ敵・リーダーとは違う敵・HPの少ない敵」の3つ

しかも、この作戦が致命的なのは、”ターゲットは、パーティーメンバー個別に設定できない”という点にあります。

これがアクティブ戦闘3Dアクションであるが為に、尚更その欠点が目立ちます。
例えば、「リーダーと同じ敵に設定してしまったが為に、目標が遠すぎて移動までに他の敵に攻撃され続ける」と言った形です。せめて、ターゲットは個別に設定できる仕様で、ターゲットの種類も「近くの敵」ぐらいは必要だったのではないでしょうか。

更に作戦は、前回設定した状況のまま次に引き継がれるのみで、その変更方法は戦闘中にしかできないという点も大きなマイナスポイントになっています。
このあたりは、他の3DアクションRPGのシステムを参考にして欲しいところです。GOODで上げた戦術の広がりを更に伸ばせただけに、非常に残念な作戦システムでした。


次にもう1点、このゲームは扱う魔物のHPやMPは存在しておらず、全て魔物を扱う主人公たちのHPMPに依存しています。それ自体には何の不都合もありませんし、それは情報を簡略化し、わかりやすい仕様となっているとは思います。

ところが、”自操作キャラ以外のHPは見えていてもMPが見えない”というのが問題です。
このゲームは、極々稀に遠距離物理攻撃が通常攻撃できるメンバーもいますが、9割が通常攻撃は近接武器で殴ります。よって、魔法キャラでも物理攻撃依存の通常攻撃しかしない為、事実上スキルを使用しないわけにはいきませんから、必然的にMPが枯渇します。

すると、被ダメ覚悟で押して攻撃か引いて守るかの選択をする状況で、回復優先に設定しておいたキャラの残りMPがわからず、一端操作キャラの変更画面で確認する作業が出てきてしまうわけです。
そして、魔物で戦闘している場合、魔物はアイテムを使用できませんから、いったん本体に操作を切り替えた後、アイテムを使用するという2アクションが必要になります。その後戦っていた魔物に戻そうとすればさらに1アクション。テンポが悪くなって当然です。
リーダーキャラや作戦の変更、アイテムや魔法の選択はノンアクティブなのが救いではありますが、戦闘のテンポをいらぬところで止めなければならないというのは、ゲームのシステム上欠陥であると言わざるを得ません。

<難 易 度>
このゲームでは難易度の設定ができません。

ジブリ作品の絵柄上、一見子供向けと見えますが、前述したシステムもあいまって、
○常に状況に気を配らんければいけない
○自分のPTの特性と魔物の特性を考えなければいけない
○一つのミスが連鎖して全滅の危機に瀕する
○コンテニューはできるがペナルティーがある
等々、難易度は比較的高いかと思います。
これがGOODかBADと取るかは個人の好みですが、柔軟に難易度を変えられないという点からBADに入れさせて頂きました。

<声 優>
舞台役者出身の方々はさすがというか、声優が本職の方と遜色ない演技力です。若い女優さんや俳優さん達の演技も、ムービー中はさほど違和感無く感じます。
戦闘開始や戦闘後のセリフは棒読みが多く、苦笑してしまうこともありますが、必殺技を頻繁に叫ぶようなゲームではありませんから、そのあたりはさして問題ではないかと思います。

ところが、物語の要であり、ムービーに頻繁に登場する方の演技力がひどい。敢えて固有名詞は避けます。
シリアスなシーン、心温まるシ−ン、切ないシーンがムービーで展開されますが、その方の演技力のなさが、感情移入しかけたところ水を差されたといったプレイヤーも少なくないと思います。
タレントや俳優を起用することになんの問題もないと個人的には思いますが、商品として販売し、演技を本職とする以上、起用する側もされる側もクオリティーの追及をして欲しかったと思う作品でした。

<その他>
サブクエストについては、おつかいクエと言った印象を拭えない物が多い点が気になりました。
それぞれにある程度ストーリーを持たせてはいますが、内容の是非はともかく単発にすぎないため、作業感が出てしまっています。
各クエストに連結したストーリーを持たせる、或いは各登場人物の過去などに関連したサブクエストがあれば、移動・作業といったストレスも緩和できたのではないかと思います。

久石氏は業界ではトップの方ですし奏者も東京フィル楽団と国内のトップを起用しただけにさすがと言った出来ではありますが、それでしたらいっそオーケストラによるインスト曲で占めて頂きたかったというのが個人的な感想です。

COMMENT

<総 評>
ジブリのファンタジー感あふれる世界でRPGのできるゲームですから、ジブリファンの方にはそれだけでお勧めしたい作品です。
また、ペット育成、収集型のようなRPGが好きな方にも、多少の面倒なことはあるにせよ、充分楽しめるかと思います。

自由度が少ないという面は否めませんが、アメリカナイズドされた、或いはオンラインネットゲーム化されたゲームより、目的がはっきりと見えているメインストーリーを楽しめる作品です。


ただ、このゲームにはクリア後もプレイはできますが、俗にいう「強くてニューゲーム」なるものがありません。

やりこみ要素もあり、取り返しのつかないといった要素は無きに等しいですから問題はありませんし、1回をじっくりと楽しみたい方にはお勧めできますが、周回プレイをしたいという方には若干不向きなゲームかもしれません。

   
プレイ時間:100時間以上(クリア済)
めろりんQさん  [2012-05-02 掲載]

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総合ポイント
74
(難易度)
2.38
レビュー数
42
スコアチャート 二ノ国 白き聖灰の女王レビューチャート

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28.6%
80-89
7.1%
90-100
【60点以上】
83.3%
【標準偏差】
13.56