PlayStation mk2 :: PS4評価レビューサイト

GOOD!

まず特筆すべきは濃密なマップデザインと緻密なレベルデザインです。このゲームは広大なマップをほぼ全てシームレスに繋げていて、他のゲームならロード等の暗転でマップ間移動を誤魔化すところをこのゲームは実際の尺度に基づいて冒険していくことが可能です。穏やかなスタート地点から迷宮のような城、棘々しい谷底、ジメジメとした地下水路、生活感の残る町並まで、様々なマップが一体化し、連結しています。それもゼルダのように広大なマップにポツンポツンとダンジョンがあるのではなく、小ぢんまりとしたマップにそれらがギュウギュウに詰め込まれていて、尚且つ不自然さ、不整合さを全く感じません。一つの芸術品と言ってもいいほどに完成されたマップデザインには感心させられました。特に随所にあるショートカットを利用した際はそのカラクリの出来の良さに誰もが関心するでしょう。

マップの素晴らしさは構造だけではありません。映像でも魅せてくれます。確かに一つ一つのテクスチャのクオリティは普及点といったところですが、重要なのはその濃密さ。前作デモンズソウルの3〜4倍の広さをうたう今作ですが、その全編が職人芸のような作り込みとなっています。少し歩くだけで全く毛色の変わる空間一つ一つに強烈な個性を出させており、印象の薄かったエリアなんて一つもありませんでした。

それらを彩るのがメインの戦闘。スタミナ、盾、属性攻撃、武器の特性、重量、その他様々な要素が戦闘一つ一つに絡み、今までのアクションRPGには無縁だった高い戦術性をもたらしています。まあ本当に凄いのはこの戦闘システムを一作目で完成させてしまったデモンズソウルなのですが。

そしてこういった戦闘の面白さを縁の下で支えているのが、キャラクターの成長要素。レベルアップが簡易ではないためどのパラメータを強化するかが重要であり、また有限な強化アイテムでどの武器防具を強化するのかも悩みどころ。強いキャラクターを作るには長期的な視野と念入りな計画が必要となります。その結果が実り、パラメータや武器防具、使用する魔法といった自分なりのトータルコーディネートで手強い敵を倒していく過程に非常に大きな爽快感を感じることができます。また装備や戦い方が豊富なため個性を出しやすくオンラインプレイの楽しさも引き立てます。

BAD/REQUEST

シームレスなマップの弊害か、移動が面倒なものになっています。修理や回復アイテムの補給が自分で行えるようになったのはいいものの、アイテムを買うための商人や武器を強化するための鍛冶屋には直接会いに行くしかありません。一度灯した篝火には最初から自由に移動することができる仕様で良かったのでは？と思います。

前作と比べてですが、武器の強化の自由度が減ったのは残念です。前作は14種類の強化方法があり、どれも個性的なものでしたが、今作は8種類しかなくそれも似たり寄ったりな内容です。確かに前作は強い強化と弱い強化がハッキリしていましたが、武器強化の楽しさは明らかに前作のほうが優っています。このあたりはバランス修正程度に抑えて欲しかったです。

あと、時事的な話はこういった半永久的に残るレビューでは避けたいのですが・・・今のところオンライン関連に不具合が生じています。前作の肝でもあった素晴らしいマッチングシステムが機能していません。これだけ売れたゲームなのに、敵プレイヤーも味方プレイヤーもまったくおらず、自分が呼ばれることもありません。フリーズや進行不能等のバグならゲームが面白ければ我慢できますが、こういったゲームの面白さに直結するバグは非常に残念です。これからパッチで改善する見込みのようですが、ゲームが一番面白いのはやはり発売直後、初見プレイの時です。その時に最高の環境が用意されてなければ意味がありません。

最後に一つ、一番の問題点。前作デモンズソウルが偉大すぎることです。今作は間違いなく前作より質、量ともにパワーアップしており、前作を楽しめたファンにもお勧めしたいのですが、残念ながらデモンズソウルという傑作をプレイしたという思い出には勝てません。前作に対する思い入れが大きければ大きいほど、ダークソウルを100％楽しむことはできないでしょう。

COMMENT

デモンズソウルの名に恥じない傑作です。（名前は変わってますが。）
もはや地に堕ちきった日本のゲーム業界が正統派アクションRPGでこれほどまでに素晴らしいものを作れるとは思いませんでした。デモンズソウルはややB級感が漂っていましたが、ダークソウルは間違いなくA級、世界水準の大傑作です。ゲームが好きな全ての人にプレイしてもらいたい作品の一つです。
このゲームは人を選ぶという風潮がありますが、個人的にはそんなことは一切無いと思います。ダークファンタジーという世界観は映画等で多くの人に好まれていますし、難易度に関してもシューティングゲームや一昔前の2Dアクションと違い、「攻略する」という気概があれば誰にでもクリアできる代物です。何にせよ間違いのは、ダークソウルを購入すべきか迷ってこのレビューサイトを見に来た人はまず買っても後悔しないということでしょう。