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【PS3】グランツーリスモ5

発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメントオフィシャルサイト
発売日 2010-11-25
価格 7980円(税込)
レーティング 【A】全年齢対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon(Spec II版)
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:オンラインカーライフシミュレーター
■ プレイ人数:オフライン1〜2人 /オンライン2〜16人

【グランツーリスモ5 Spec II】
■ 発売日:2012/02/02
■ 価格:4,980円
グランツーリスモ5にあるDLCと同内容です。



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
2pt 4pt 2pt 4pt 3pt 0pt 4pt
総合点
52pt

GOOD!

・グラフィック、再現度
今世代機のレースゲームとしては最高レベルです。
プレミアムカーの造形や質感は、三ヶ月〜半年かかっているだけあってまさに本物です。
コースの方は、ニュルブルクリンク関連コースの再現度はこの世に存在するゲームの中でトップの出来と言っていいです。1年以上もの時間をかけて製作されたコースは、実際の走行映像と比較しても何らおかしいところはありません。
これは、プロデューサーの山内氏が伝統あるニュルブルクリンク24時間レースでトップクラスの成績を残していることからも窺い知れます。

しかし、総合的にはあくまで最高レベルであって最高ではありません。当然ながら例外があります。それについては下で。

・収録車種数
前作から引き続き収録された車が多数ですが、1000台以上の車を収録しています。
数だけで言えばトップでしょう。

しかし、多いが故の問題も多いです。下に書きます。

・フォトモード
その名の通りのシステムですが、グラフィックの良さも相まって、場合によっては本物と区別がつかなくなることも。
ネットを徘徊していて「異様に綺麗な車の画像があったと思ったらこのゲームの画像だった」なんてことが普通にあるくらいです。
ドアを開けたり内装を自由に見まわしたりは出来ませんが、今作の数少ない納得できる要素です。

・レース(走行)
当然と言えば当然ですが、やっぱり走ってると楽しいです。さらにハンドルコントローラを使えば楽しさは倍増します。
今作からはオンラインもあるので、世界中のユーザーと限界ギリギリの熱い勝負が楽しめます。
ユーザーも多いので、今のところ過疎状態になることもありません。

・難易度


・発売後の対応
アップデートによるバグの修正や新イベントの配信等、発売後の対応がしっかりしています。
PS3(ソニー)の看板タイトルだけはあります。

しかし、これにも思うところがあります。下に書きます。

BAD/REQUEST

・グラフィック、再現度
車に関しては、プレミアムカーは最高に綺麗なのですが、細かいところで間違いが散見されます。
そして、後述するスタンダードカーを見てしまうと「プレミアムカーで力を使いきった」としか思えなくなります。
コースについても「ニュルブルクリンク再現で燃え尽きた」感が見受けられます。
海外のコースはともかく、日本のコースですら所々に手抜きがあります(例として鈴鹿サーキット。スプーンコーナーのアウト側縁石付近が舗装されていない等)。

・効果音(エンジン音等)
エンジン音は実車から録音していると豪語していますが、全然似ていない車が多すぎます。
本物の音を録音するのはこれ以上ないことですが、肝心の加工を疎かにしています。せっかくの実車音が台無しです。
実車と区別がつかないほどのものもありますが、それはほんの一握りです。酷いところでは露骨な使いまわしも。音故に素人でもすぐにわかります。

・収録車種
収録車種1000台が今作の売りのひとつですが、これ自体に疑問符が付きます。その全てがスタンダードカーの存在に起因します。
また、「コンセプトカーがあるのに市販モデルが存在しない」等、的外れなラインナップも疑問が残ります。

・スタンダードカー
先に結論をはっきり言ってしまうと、今作の癌です。他が如何に良くてもこれだけは認められません。
上でプレミアムカーをべた褒めしましたが、それの対極にある存在だと思って下さい。
公式サイトでは「内装の再現はされていないが、グラフィックはPS3相当に作られている」と取れる説明がされていますが、嘘にも程があります。
PS3初期どころかPS2末期以下、酷いものではPS2初期のグラフィック。エンジン音や挙動の使いまわしは当たり前。基本的に前作や前々作(PS2)の使いまわしです。
目玉要素であるフォトモードも機能制限されます。こんなので写真撮っても全然楽しくないですが。

酷いものになると「名前を変えただけ」のコピー&ペースト車が存在します。
例えば世界的に有名な『マツダ ロードスター』は海外では『MX-5』という名称で販売されています。今作にはその両方が収録されていますが、MX-5は当然海外の道路法規に合わせて左ハンドルになっています。しかし、内装が再現されていない今作では、当然そのような細かい違いは意味がありません。見た目は同じ、中身も同じ、名前が違うだけの正真正銘の水増しです。
また、それに輪をかけて最低なものが存在します。
海外仕様の車には、コストや環境配慮といった理由から国内仕様とエンジンが違う車も存在します。
しかし、今作ではそれらも全て国内仕様のコピー&ペースト、ここまでくると再現のさの字も無くなってきます。ユーザーを舐めているとしか思えません。
それに、何よりGTを信用して無料でライセンスを譲渡してくれている世界中の車会社に失礼だとは思わないのでしょうか?(GTシリーズは知名度の高さ(広告としての有用性)ゆえ、本来有料である実車収録にかかるライセンス費用を、極一部を除き各車会社の好意によって無料にしてもらっています。)

ちなみに、公式発表では今作の収録車種は1000台以上ですが、実は、これらのコピー&ペースト車を除外すると収録車種が1000台を切ります(!?)。最早ガッカリのレベルを遥かに超えます(もちろん悪い意味で。)
また、800台程度がこのスタンダードカーです。つまり、今作の収録車種(PS3の水準に達しているもの)は実質200台程度です。

・レベル制
山内氏の「日本人はRPGが好きだから」の言葉で追加された要素です。レースに勝って経験値をためてレベルを上げると、好きな車が買えるようになり好きなレースに出られるようになる。
…これに何の意味があるのでしょうか?
これまではレースの出場制限にライセンスが使われており、「ドライビングテクニックを磨いて、上手くなってから難易度の高いレースに挑戦する」という方式でした。誰でもクリア可能なように調整もしてあったので、ゲームの進行が妨げられることはありませんでした。
今作のレベル制はただ時間がかかるだけです。普通にやっていたら好きな車が運転できるまで100時間はかかると思います。ユーザーを引き寄せるのではなく、縛りつける要素です。
現在ではオンラインの配信レースで一気にレベルが上がるほどの経験値を取得でき、全く意味のない要素に成り下がっています。開発者側が完全に失敗だと認めたようなものです。
個人的な予想ですが、次回作では確実に消滅する要素だと思います。

・ボリューム
カーライフシミュレーターを謳っているにも関わらず、出来ることがレースと写真撮影程度しかないのもマイナスです。
謳い文句から「自由度が高すぎて何をしたらいいのかわからない」ゲームを想像してはいけません。実際は全く逆です。
収録車種が実質200台というのも拍車をかけます。オンラインでも結構使用車種が被ります。
走れるコースの種類も少ないです。前作にあったコースも排除され、新コースも少ない。たったの26コースです(レイアウト違いを含めるなら71ですが)。前作の方が多かった気がします。
また、収録コースの多くがオリジナルコースなので、他のレースゲームが当然のように収録している世界の人気コースはほぼ無いです。穴埋めなのか『コースメーカー』なる機能もありますが、ランダム作成な時点で魅力ゼロです。

・快適さ(UI、ロード時間)
UIは見た目は綺麗(個人的にも気にいっています)ですが、コマンドを何回も選んで掘り進めるという前時代的な作り。レスポンスも悪く、快適のかの字もありません。
ロードが長いのはレースゲーム(特にリアル路線系)の宿命なのでそこはしょうがないのですが、レースに関係ない部分でのセーブ・ロードが多すぎです。
車を乗り換えるだけでオートセーブが発生するのはその最たる部分です。他にも、消耗品のアイテム(車体ペイント用の塗料等)も実際に使わないとどうなるかわからない(当然オートセーブあり)等、徹底的に不便です。
オンライン関係の遅延も酷いです。分単位で待たされるのは当たり前、フリーズも頻繁にあります。
アップデートで改善・改悪を繰り返す迷走ぶりも勘弁してほしいです。

・バグ・不具合の多さ
これまでのシリーズに比べ、誤字脱字からセーブデータ読み込み不能バグまで、悪い意味でよりどりみどりです。「アップデートで直せばいいや」という考えを体現したかの如くです。
実際、セーブ読み込み不能バグはユーザーがツイッター等で必死に呼びかけで改善され、現在はは直っています。


ここまで問題点を色々と述べてきましたが、真の問題点は、これらほぼ全てが「テストプレイすれば誰でも気付く」ものであることです。
恒常的にイライラさせられるので、気付かない方がおかしいと思ってしまうほどです。
そしてゲーム自体の出来は、他のゲームが当然のように出来ている機能が無く、6年も開発期間があれば当然満たせるであろう水準を遥かに下回っています。

COMMENT

本当はもっと早い時期にレビューを書く予定でしたが、一ファンとして、プラチナトロフィーを取ってから書かせていただきました。

初代GTからのファンである自分からすれば、GT5の出来は今世代機の水準を遥かに下回っています。
6年近くかけてコレ?と言うしかないです。
GT4までは友人にしつこく勧めるほどでしたが、GT5で同じことは出来ません。

特にスタンダードカーは商品失格の烙印を押されても仕方が無い出来です。
レビューでは散々こき下ろしましたが、本来なら出来がどうのという以前に、PS3発売から4年以上経った後の作品に前世代機初期レベルのモノが混じっている時点で論外です。

プロデューサーの山内氏は世界のゲームクリエイターの中でも有数の完璧主義者で有名です。
ユーザー以上に自分が納得できるゲームを作る。そのためなら年単位の延期は当たり前。
延期の繰り返しはユーザーの信用を失うに足る要素です。
それでも世界最高の評価を受け続けてきたのは、出来上がったゲームが最高であったからです。
私もGTに魅せられた人間のひとりです。
しかし、今作のような出来のゲームをこれからも作り続けるのだとしたら、私はその評価を覆さざるを得ません。

   
プレイ時間:100時間以上(クリア済)
GTファンさん  [2011-07-07 掲載]

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総合ポイント
51
(難易度)
2.65
レビュー数
102
スコアチャート グランツーリスモ5レビューチャート

グランツーリスモ5 Spec II 購入する
0%
0-9
5.9%
10-19
7.8%
20-29
13.7%
30-39
18.6%
40-49
13.7%
50-59
12.7%
60-69
16.7%
70-79
7.8%
80-89
2.9%
90-100
【60点以上】
40.2%
【標準偏差】
21.1