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【PS4】トトリのアトリエ ~アーランドの錬金術士2~ DX

発売元 コーエーテクモゲームスオフィシャルサイト
発売日 2018-09-20
価格 5184円(税込)
レーティング 【B】12才以上対象 セクシャル (CERO について)
ショップ/リンク Amazon
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:新約錬金術RPG
■ プレイ人数:1人



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
5pt 3pt 5pt 5pt 5pt 4pt 5pt
総合点
93pt

GOOD!

▪練られたゲームシステム
簡単に言うならば、決められた期間内に目標を達成することです。主人公トトリには行方不明の母親を探すという目的がありますが、冒険をするために冒険者として登録し支援を受けたり、海に出るために船を作成する計画を立てたり……etc
これらを4年程度でこなさなければならない訳ですよ。
しかし魔物と戦う事も、マップを移動することも、錬金術を使い有利にゲームを進めるアイテムを作成することも、錬金術に使う素材を採取する事も、全てが4年という制限時間を消費して行動する事になるのです。戦闘に負けたり、行く場所を間違えたりしたら、目標から遠のいてしまいますし、無駄な行動を減らして、より計画的に、広い世界から本当に大切な狭い範囲で活動し、母親を探す旅において何が無駄で何が必要かを自分で考え切り開いていかなければならない。
しかしながら、初見ではそんな事は分かるはずもなく、行かなくても良い草原でウロウロして無駄に素材を採取し日が暮れる頃に帰り、これを繰り返すと気づかないうちにバットエンドへと向かっている。何があるかは進まなきゃ分からないし、何が必要かは使わないと分からない。失敗に失敗を重ねる。
その中で、母親を探す旅の強力な助っ人である数多く存在するキャラクター達と絆を深め、自身の目的と仲間の目的のための支援をマルチタスクでこなしていく。
このゲームには周回システムが存在します。つまりはバッドエンドを繰り返しながら学び続け、そこまでの経験を活かした効率的な旅と、経験の効かないそれ以降の旅への対応力、イレギュラーにより追い込まれても、手持ちから逆境を乗り切る切り札を見つけ続ける思考力と、イレギュラーに追い込まれない為の保険。
これを完璧にこなした時に、やっとトゥルーエンドを迎えられる訳です。
非常に知的なゲームだと思います。素材もランダム要素が強く、タスク管理も難解なため、ネットで丁寧に紹介されてる攻略チャートを見てもその通りには進めず、目安にしかならないため、自分で考えて厳しい期間の中にある課題に立ち向かわなきゃいけない日が来る。
プレイヤー自身に考えさせる事に特化している。また、学び続ける事で恐ろしい程快適な旅になる。失敗を潰していくわけだから、単純な話、大人の知識で子供の頃に戻ってテストで100点取る様な感じです。
学びを活かした旅で成長を感じては、好奇心から新たな世界に挑み、その度に失敗してまた学び成長するリプレイ性の高さもさる事ながら、
出来ることが多く、場所も、人も多く、アイテム作成も素材採取も休憩や戦闘も何かも自由にやっていいが、自由には責任がつきまとい、これが思考停止しない為の良い仕掛けになっている。自由度って言うのは、ただ広いだけの世界を歩く事ではなく、自分の意思で自由に選び続けた時、その自由に応じた結果が反映されることだと思います。
もしそうならば、トトリのアトリエはゲーム史上稀に見る自由度の高さを持っていると言えます。

このゲーム最大の魅力は、この高いゲーム性ではないでしょうか。私はそう思いました。

▪主人公トトリが魅力的
非常に可愛らしい妖精のような見た目をしています。パッケージの感じから絵柄は少女漫画に近いと最初に感じました。
性格は少し子供っぽいですが、基本的には心優しく純粋で、年相応の可愛らしさというか"良さ"があると思います。
また纏っている錬金術士のドレスのデザインが美しく、ゲーム内モデルでも透過された青から白のグラデーションのリボンやスカート、岸田メルの描くスチルなどヴィジュアル関連は芸術的です。

▪サウンド
戦闘曲Yellow zoneやterminus、アトリエ内BGMやエンディングテーマなど、ほぼ全てのサウンドが耳に残っています。
しかも耳に残っているというのは何となくではなく、良い音楽として脳内に細かなメロディまで記憶されている。
中でも私はゲーム起動時に流れたオープニングテーマ「Pilgrimage」が衝撃的でした。
言っちゃあれですが、ゲームなんてそこそこのそれっぽい音楽がついてればいいと思ってました。オープニングテーマはアニソンみたいなのか適当なロック流したり世界観に特化したイメージビデオにそれっぽい曲当てれば雰囲気出るだろみたいな偏見というかある意味での諦めがあったので。
そんな半端な気持ちでオープニングを流して、僅か1分ちょっとのオープニングテーマに心を奪われて再起動し2度見してしまった訳です。

衝撃的と言いましたが、その感情を今でも覚えています。
ゲームセンターのピコピコした低俗な音楽じゃなければ最低どんなのでも良いと思えば、なんと一流ミュージカル映画のオープニングみたいなガチな物が来たのでモチベーションというか掴みは100点です。
調べてみたらアトリエシリーズは音楽が凄いことでゲーム音楽を少しでもかじっている人ならば、誰とが認知してるクラスだとか。

▪仲間キャラクターと日常イベント
立ち絵による楽しい会話がよく発生します。キャラクター数も1人あたりのイベント量を考えるならかなり多く、アニメのような感覚で見ています。楽しいです。
最終的に主人公の親友にあたるミミという少女は、最初こそぎこちなかったけれどもトトリと次第に背中を預け合う存在になっていき、他キャラクターより一層ドラマチックに思えたので特別印象的です。

▪アイテム作成
引き継げるのは、装備やアクセサリなど1部ですが、自分だけの装備やアイテムを作成し戦うのは面白い。
特性の付け方でアイテムの性質が変わっていきます。クリア後の余った期間でより理想的な装備を作るため模索したり、引き継いで無双したりと、かなり楽しい。
もちろ、本編がまともにクリア出来ない内は、最低限の装備しか揃えられませんがね……

▪グラフィック
昔のゲームらしいですが、可愛らしいアニメモデルはリアルなグラフィックと違いあまり寿命がないので見てて辛くないです。例としてフォトリアル路線のPS3傑作ラスアスの一作目が大好きなのですが、昔は相当リアルに感じたけど今となっては結構キツいと感じるほど、リアルではない。
対してこのゲームは、元からリアルじゃないからして、そういうアニメモデルなんだで割り切れる。そして可愛い。
こう考えると技術の変化により見劣りしにくいアニメモデルはコンテンツを長寿化する上で合理的な気がします。

▪脚本
母親を探す旅は、トトリのこれからの生き方を考えたり、広い世界に触れて少女なりの成長をする旅でもありました。
大きな目標の前にある、いくつもある小さな目標を達成し続けるトトリはどこか応援したくなるし、まだ幼いからこそ、理屈で考えたら亡くなっているとしか思えない母親の為に、生きていると信じてどこまでも一生懸命で一途。健気な姿には度々心を打たれます。
後半では母親の歩いた道を探しとある島へ。その場所で母親が果たせなかった約束を、その血の運命なのかトトリが果たすことになり……
この先は自身の手で見てください。トゥルーエンドの達成感は別格でした。強いメッセージ性は無いけど、成長譚として一級品であり、起承転結も完璧、隙と無駄のないシナリオになっていたと思います。

▪快適性
UIはそこそこ快適です。素材やアイテムが多く、図鑑関連はもう少し便利な機能が欲しかったけど、欲を言えばの話であり充分ではある。
ロードは速いし、倍速機能もあるのでテンポを損ねる事無くプレイできます。

BAD/REQUEST

▪あまりにも難しすぎる
この手のゲームが初見だったこともあり計13回も周回を重ねて初めてラスボスを倒すルートでクリアしました。
期間が厳しすぎるし、心が折れそうになることも沢山ありました。特にはヤケになって日数を消費しない水汲みを繰り返し水を1コールで売り飛ばす奇行を繰り返したり、装備作成のために一周まるごとクリアを捨てた行動をしたりと、

考え続ける事の難しさと学びを活かす楽しさのゲームである以上、悲しいことに思考停止なプレイヤーはまともに物語を見届ける権利すら与えられない。トトリが夢破れる悲しいエンディングを繰り返すことに。
つまり、適当に遊びたい人には向かない。仮に考えるのが苦手でもクリアするまで粘りたい!という覚悟をお持ちの方が居たとしても、クリアするまでバッドエンドを繰り返す訳だから、要領しだいですがまぁ、長い時間がかかる事でしょう。

時間と、知能。この2つが必要。
アクションじゃないから反射神経とかまるで要りません。

自分は苦手なタイプなため、どちらかと言えば厳しかった。
私はアクションゲームは得意なタイプと自負していますが、DARK SOULSやキングダムハーツのリミカが出来ても難しいのベクトルが違うため初見は悲惨でした。
更に心が折れた要因ですが、lolやR6Sなどそこそこ頭を使うと感じていた対戦ゲームを長い時間やっていた方なので、思考力には自信があったのですが、そういう感じでもないです。

ぶっちゃけ1ターンの持ち時間が決まっている将棋で複数人と同時に勝負し全部勝たなきゃいけないという無茶ぶりに近い何かを感じました。
今でこそクリア出来たから傑作と言えますが、初見での感想は「地獄そのもの」でした。何も出来ない。何もさせて貰えない。船作れなかったから海にすら出れない。冒険者免許剥奪。
どこまでも無慈悲。

▪一部イベントのフラグ条件が難解
トロフィーに関わるイベントもある中で、一部イベントのフラグ条件が分からずネットで調べましたが、どこも曖昧で……
公式攻略本とか買えば分かるんですかね。
分かりやすくしろとは言いませんが、本筋と関係ない事で悩むのはちょっと辛いです。

COMMENT

名作扱いされていたので純粋に興味がありました。
可愛らしい絵柄とは裏腹に難しいゲームなので、想像を遥かに超えた苦戦をしましたが、結果としては傑作という判定で間違いないと感じております。概ねネットでの評価と同じになったわですね。
登場人物が全員割とまともな倫理観を持っており、この辺もゲームにしては珍しいと思いました。主人公と幼なじみが一番子供っぽい可能性すらある。
日常的なイベントに関しても、会話シーンは面白いものが多く、動画にまとめられたものを思い返して見ることも。
キャラクターに魅力を感じるだけではやっていけるか分からない難易度の高さですが、クオリティは保証します。

あとは、最後まで折れずに頑張ってください笑

   
プレイ時間:100時間以上(クリア済)
まゆらさん  [2020-08-12 掲載]

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総合ポイント
92
(難易度)
4.50
レビュー数
4
スコアチャート トトリのアトリエ ~アーランドの錬金術士2~ DXレビューチャート

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0-9
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10-19
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20-29
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30-39
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40-49
0%
50-59
0%
60-69
0%
70-79
25%
80-89
75%
90-100
【60点以上】
100%
【標準偏差】
4.42