〇圧倒的な操作性の快適さ とにかく移動が楽しい。これに尽きる。 オープンワールドのゲームは世界が広がり細部のクオリティが良くなっていくと、どうしても移動が面倒になるというジレンマを抱えている。 ゲーム性を取るか、世界観を取るか。 しかし本作においてはその問題点はなく、移動が面白いというオープンワールドゲーとしては快挙とも言える偉業を成し遂げている。 単純に移動速度が速い程度ならいくつもあったが、本作はただ移動にも複数の要素を組み合わせており、ビルの合間を縫うように飛んだり、地面ズレスレを通り抜けたりと、これぞまさしくスパイダーマンな動きを再現している。 恐らくオープンワールドの世界としてはまあまあ広いと思われる本作の舞台ニューヨークだが、この動きの快適さ、あるいはスピード感のおかげか、むしろ狭いとさえ思えてくる。 ファストトラベルも用意されているが、ちょっとの移動距離ならむしろ自分で移動しようという気持ちになり、実際FTを使わない人も多いのではないだろうか。 ただFTのカットシーン自体はシュールなので、ぜひ一度は見てほしいものではある。 〇より直感的になった戦闘パート 戦闘システムは同社製作の『バットマンアーカム』シリーズとほぼ同じである。 しかしスパイダーマンに合わせていくつか変更点があり、これらの要素が非常にマッチしている。 敵の攻撃は比較的激しく、特に銃撃を受けるといかにスーパーヒーローと言えどすぐに蜂の巣になってしまう。 しかし敵の攻撃を上手く回避し、スパイダーマンらしい多種多様な攻撃とヒーローらしい様々なガジェットを組み合わせる事で、非常にアクロバティックな戦闘を実現している。 戦闘部分の貧弱さもまた、オープンワールドゲーの弱点であったが、本作はそれらを見事に改善している。 またアメコミ特有の特徴的なヴィラン戦も上手く表現しており、強力な攻撃をうまく回避しての戦闘や、スパイダーマンらしく一切地上を使わない空中戦など、同じシステムでもアイディア次第で様々なシーンを作り出している。 〇Marvelファンにもたまらない演出の数々 マーベルと言えば、近年はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)という事で、様々なヒーローを同一世界観で描くという試みを行っている。 『アイアンマン』や『ドクターストレンジ』、『アベンジャーズ』などがそれに当たる。 本作はもちろん映画作品ではないので、MCUの一つではないものの、ちょっとしたクロスオーバー部分はあり、ファンならニヤリとする場面もあるだろう、 会話の端々にはアベンジャーズの話は出てくるし、一部のサイドストーリーは明らかに伏線めいた話もある。 またニューヨークのヒーロー達の溜まり場と言えばヘルズキッチンがあるが、本作にもきちんと再現されており、ネルソン&マードック法律事務所(デアデビル)やエイリアス探偵事務所(ジェシカ・ジョーンズ)も街中に存在している。 く他にもファンならニヤリとする場面は多数あるので、そういう小ネタを探すのも楽しい作品である。
×ややファン向け要素が強い 本作は主人公ピーターが既にスパイダーマンとして活躍している世界でスタートする。 その為、前提知識がない人にはよく分からない展開も多いだろう。 できれば近年の映画作品をいくつか見ておくといいだろう。 まあスパイダーマン自体、そこまで複雑な設定のある作品でもない為、根幹設定くらい知ってれば十分ついていけるだろうけど。 ×若干ボリュームが少ない メインストーリーだけならばややボリュームが足りない。 とはいえ本作はメインとサイドストーリーが絡み合っている為、ただメインだけを進める人も少ないだろうが。 また登場ヴィランにしても、もう少し出してほしかった、というのが本音ではある。 一応有名どころは大体登場してはいるものの、やや消化不良ではある。 特に本筋に関わらないサイドストーリーに関しては登場ヴィランが少ない為、この辺は残念なところ。 まあ一作目にあたる今作で今後のキャラを使う訳にもいかなかった、というのがあるだろうし、この辺は次回作以降に期待したいところである。 ×他ヒーローとの絡みが見たかった これはBADというよりただの願望に近いが、残念ながらクロスオーバーな展開はない。 まあ「スパイダーマン」のタイトルを冠しているのに「アイアンマン」が出てくるとは思えないが、折角のマーベル作品なんだしサイドストーリーでちょろっとくらいは出してくれるかと期待してしまった。 まあこればっかりはいかんともしがたい部分があるので、単なるいちファンの戯言ではある。
非常にハイクオリティな作品である。 移動と戦闘というオープンワールドにとってのボトルネック部分をうまく解消しており、それらを長所にした点は見事というしかない。 この手のゲームによくある収集要素というのは面倒なだけでしかない事も多いが、本作はむしろもっとたくさん配置してくれ!と思ってしまったくらいだ。 それくらい、街中を走り回るのが楽しい作品になっている。 ラストの展開やまだ登場していないヴィランなど、伏線もまだまだあり、次回作以降を作る気マンマンっぽいので、今から楽しみなところではある。 またネタバレになるので詳しくは省くが、某少年が登場した瞬間、原作ファンは「もしかしてラストは〇〇になっちゃうのか」と心配したに違いない。 ぜひとも本作のシリーズは映画でもコミックスでもない、新たなるスパイダーマンの世界を作り上げてもらいたいところである。
GOOD!
〇圧倒的な操作性の快適さ
とにかく移動が楽しい。これに尽きる。
オープンワールドのゲームは世界が広がり細部のクオリティが良くなっていくと、どうしても移動が面倒になるというジレンマを抱えている。
ゲーム性を取るか、世界観を取るか。
しかし本作においてはその問題点はなく、移動が面白いというオープンワールドゲーとしては快挙とも言える偉業を成し遂げている。
単純に移動速度が速い程度ならいくつもあったが、本作はただ移動にも複数の要素を組み合わせており、ビルの合間を縫うように飛んだり、地面ズレスレを通り抜けたりと、これぞまさしくスパイダーマンな動きを再現している。
恐らくオープンワールドの世界としてはまあまあ広いと思われる本作の舞台ニューヨークだが、この動きの快適さ、あるいはスピード感のおかげか、むしろ狭いとさえ思えてくる。
ファストトラベルも用意されているが、ちょっとの移動距離ならむしろ自分で移動しようという気持ちになり、実際FTを使わない人も多いのではないだろうか。
ただFTのカットシーン自体はシュールなので、ぜひ一度は見てほしいものではある。
〇より直感的になった戦闘パート
戦闘システムは同社製作の『バットマンアーカム』シリーズとほぼ同じである。
しかしスパイダーマンに合わせていくつか変更点があり、これらの要素が非常にマッチしている。
敵の攻撃は比較的激しく、特に銃撃を受けるといかにスーパーヒーローと言えどすぐに蜂の巣になってしまう。
しかし敵の攻撃を上手く回避し、スパイダーマンらしい多種多様な攻撃とヒーローらしい様々なガジェットを組み合わせる事で、非常にアクロバティックな戦闘を実現している。
戦闘部分の貧弱さもまた、オープンワールドゲーの弱点であったが、本作はそれらを見事に改善している。
またアメコミ特有の特徴的なヴィラン戦も上手く表現しており、強力な攻撃をうまく回避しての戦闘や、スパイダーマンらしく一切地上を使わない空中戦など、同じシステムでもアイディア次第で様々なシーンを作り出している。
〇Marvelファンにもたまらない演出の数々
マーベルと言えば、近年はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)という事で、様々なヒーローを同一世界観で描くという試みを行っている。
『アイアンマン』や『ドクターストレンジ』、『アベンジャーズ』などがそれに当たる。
本作はもちろん映画作品ではないので、MCUの一つではないものの、ちょっとしたクロスオーバー部分はあり、ファンならニヤリとする場面もあるだろう、
会話の端々にはアベンジャーズの話は出てくるし、一部のサイドストーリーは明らかに伏線めいた話もある。
またニューヨークのヒーロー達の溜まり場と言えばヘルズキッチンがあるが、本作にもきちんと再現されており、ネルソン&マードック法律事務所(デアデビル)やエイリアス探偵事務所(ジェシカ・ジョーンズ)も街中に存在している。
く他にもファンならニヤリとする場面は多数あるので、そういう小ネタを探すのも楽しい作品である。
BAD/REQUEST
×ややファン向け要素が強い
本作は主人公ピーターが既にスパイダーマンとして活躍している世界でスタートする。
その為、前提知識がない人にはよく分からない展開も多いだろう。
できれば近年の映画作品をいくつか見ておくといいだろう。
まあスパイダーマン自体、そこまで複雑な設定のある作品でもない為、根幹設定くらい知ってれば十分ついていけるだろうけど。
×若干ボリュームが少ない
メインストーリーだけならばややボリュームが足りない。
とはいえ本作はメインとサイドストーリーが絡み合っている為、ただメインだけを進める人も少ないだろうが。
また登場ヴィランにしても、もう少し出してほしかった、というのが本音ではある。
一応有名どころは大体登場してはいるものの、やや消化不良ではある。
特に本筋に関わらないサイドストーリーに関しては登場ヴィランが少ない為、この辺は残念なところ。
まあ一作目にあたる今作で今後のキャラを使う訳にもいかなかった、というのがあるだろうし、この辺は次回作以降に期待したいところである。
×他ヒーローとの絡みが見たかった
これはBADというよりただの願望に近いが、残念ながらクロスオーバーな展開はない。
まあ「スパイダーマン」のタイトルを冠しているのに「アイアンマン」が出てくるとは思えないが、折角のマーベル作品なんだしサイドストーリーでちょろっとくらいは出してくれるかと期待してしまった。
まあこればっかりはいかんともしがたい部分があるので、単なるいちファンの戯言ではある。
COMMENT
非常にハイクオリティな作品である。
移動と戦闘というオープンワールドにとってのボトルネック部分をうまく解消しており、それらを長所にした点は見事というしかない。
この手のゲームによくある収集要素というのは面倒なだけでしかない事も多いが、本作はむしろもっとたくさん配置してくれ!と思ってしまったくらいだ。
それくらい、街中を走り回るのが楽しい作品になっている。
ラストの展開やまだ登場していないヴィランなど、伏線もまだまだあり、次回作以降を作る気マンマンっぽいので、今から楽しみなところではある。
またネタバレになるので詳しくは省くが、某少年が登場した瞬間、原作ファンは「もしかしてラストは〇〇になっちゃうのか」と心配したに違いない。
ぜひとも本作のシリーズは映画でもコミックスでもない、新たなるスパイダーマンの世界を作り上げてもらいたいところである。