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【PS4】真・三國無双7 Empires

発売元 コーエーテクモゲームスオフィシャルサイト
発売日 2014-11-20
価格 7344円(税込)
レーティング 【B】12才以上対象 セクシャル 暴力 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:タクティカルアクション
■ プレイ人数:1~2人(オンライン:1~2人)



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
2pt 3pt 4pt 3pt 2pt 2pt 2pt
総合点
50pt

GOOD!

バグの嵐で炎上状態と化した本タイトルですが、大分VUが進んで後に購入したので、バグに関しての記述は抜きで、ゲーム自体についてのレビューとします。主にエンパとしての前作である6empiresとの比較を重視しました。

■新武将の追加

 原作のファンも多く、参戦が待ち望まれていた荀イクが参戦しました。6mpiresに続くエンパでのキャラ増加で、また荀イクもエンパ向けにふさわしい戦略的・政治的な活躍が多い人物であり、妥当な抜擢と言えます。

■エディット機能の拡張

 パーツが増えたのは勿論、より詳細な数値設定ができるようになり、自由度が増加しています。特に口調(人格)が同じ口調でも1番と2番で台詞が変わり、実質人格が2倍になったため、より多くの武将作成に対応できるようになりました。さらに細かいところですが軍旗や軍馬、配下やシナリオのカスタマイズまで出来るようになっており、エディット機能に関する限りは大幅な進化を遂げているといって過言ではありません。

■婚姻機能の強化

 今作では婚姻だけでは終わらず、子供が生まれて武将として参戦してくれるようになります。


■武器属性の完全固定化

 無印・猛将伝では武器のカスタマイズが可能だったため、7系の問題点であるゲームバランス破壊級の強属性を付加することであらゆる状況がヌルゲーと化し、難易度の設計がほぼ無意味と化していました。

 また武器の強さ=武器の攻撃力ではなく、武器の強さ=付加された属性であったため、本来なら一番レベルが高く強いはずの隠し武器が、相対的に弱武器となっていたのも問題です。empiresにおいて武器をランクアップさせ強くしていくというのは戦略的要素の一つであり、レベルをあげて強くなったはずが、属性がアレなので弱くなっていました、という事態は避けねばなりません。

 このため本タイトルでは武器ごとに完全に属性を固定し、常時強属性による圧倒的ヌルゲー化を防ごうとしています。また武器種ごとに属性の種類も統一され、同じ武器種ならLv2の武器はLv1の武器の上位互換、Lv3の武器はLv2の上位互換・・といったような階段構造を成立させています。しかも階段構造だけではなく、Lv6武器やユニーク武器(それぞれ通常の武器系とは属性の種類が違う)といった形で横方向の幅も持たせています。これによって、武器の強化に有る程度戦略的価値を持たせることができています。
 
■戦略的要素の拡張

 戦略的要素の全てが名声の増減に帰結していた6empiresと異なり、戦略にからんでくる要素が多岐に渡っています。まず資金・資源に加えて兵力が基礎物資として加わり、武将の能力にも最大兵力に関わる「統率力」の概念が登場して、兵力の管理という要素もできました。

 さらに6empiresでは資金・資源の収入にしか関連していなかった支配地域に、開発エリアの概念が追加。道具屋を建設すれば購入できる道具の種類が増え、鍛冶屋を建設すれば購入できる武器のレベルがあがり、学問所を建設すれば新たな秘計を購入することができます。さらに4empires同様地域特産品の概念も復活したため、支配地の戦略的価値が上がっています。

■秘計の増加

 6empiresで生まれた秘計には、新たな種類が追加されています。自由に設置できる簡易拠点である櫓系や、覚醒ゲージや無双ゲージを直接増加させる回復アイテム的秘計など、バリエーションの増加が顕著です。また今回は秘計は使い捨てではなく、一定のコスト内であれば同じ秘計を何度も使うことが可能になっており、6empiresより手軽に使用できるようになっています。

■味方武将の強化

 6empiresでの味方NPCは画面外では異常に強い反面、画面内では火力も攻撃頻度も低く何の役にも立たないため、共闘感がイマイチでした。今作では画面内でも普通に強くなっているので、護衛につける意味もでてきてよいです。

■武将の個性の拡張

 秘計の一般化により、自キャラ以外のNPCも頻繁に秘計を使用してきます。そのためNPCが所持する秘計ラインナップによって一種の個性が生まれ、「攻撃系の秘計しか持たないので前線に突っ込んで削りまくる特攻型武将」「回復系の秘計が豊富なのでひたすら粘りまくる粘着質武将」「ワープばかりするので攻守の展開が速いが、拠点の守りは危なくて任せられない武将」「準備期間で陣容を薄くする大規模秘計を持たないので、逆に安心できる武将」などバリエーション豊かになっています。

 また戦略面でも、各武将に「人徳値」の固有設定が設けられたことでより個性が強くなっています。これは5段階のクラス分けによる一種の相性値で、人徳値が近い人物ほど友好度が上げやすく、また維持しやすくなっています。君主時に友好度が低くなると裏切りや下野の可能性が増大しますし、同僚としても配偶者や義兄弟になりづらくなります。この人徳値の設定により、「劉備(人徳+2)の元ではあっさり裏切る呂布(人徳値-2)」「司馬師(-1)の配下には定着してくれない文オウ(+2)」などといったそれっぽい展開が生まれます。

■やりこみ要素「生き様」

 今回はプレイ中に一定条件を満たすことで「称号」を入手することができます。この称号の種類によって「生き様」というステータスを得ることができ、それぞれの秘計などが入手できます。またエディット武将で争覇モードをクリアすると、クリア時の生き様を以降デフォルトで所持するようになります。華雄を作って「飛将軍」の生き様でクリアできた場合、以後は飛将軍の生き様を持ったエディット華雄をNPCとして登場させることが出来るわけです。

 エンパ系では非常にめずらしいやりこみ要素であり、しかもエディット武将の製作自由度に関わってくる有用なやりこみ要素でもあります。やりこみ要素を自然に周回プレイに組み込んでいるという点で、今作で一番評価できる点だと思っています。

■BGM

 当然今回も文句なし。しかしゲームの華である戦闘BGMが少なく、イマイチ新曲が目立っていません。最終戦-MOMENT OF TRUTH-とかかっこいいのですが・・・

BAD/REQUEST

goodに多くの要素を挙げましたが、その要素の殆どがBadな面を併せ持っています。

■エディット機能の拡張・・・したんだけども

 軍旗・軍馬や兵士のカスタマイズは非常に地味で、既存の兵士モデルから選択して色やサイズをいじったり、馬の各部のサイズを微妙にいじったりといったことぐらい。甘寧でチバラギ仕様の虹色馬を乗り回したり、董卓の配下を美女で固めたりといったことはできません。残念。

 さらにはキャラクターカスタマイズで、人徳値の設定が出来ないのも気になった点です。生き様はコピーできるのでいいのですが・・・

■婚姻機能の強化・・・の代償がでかすぎる

 子供生産イベントが増えたのは事実なのですが、その一方で前作のキャラクター周りの状況対応台詞が6empiresからごっそりと削られています。三国無双は三国志ゲーでありアクションゲーでありキャラゲーであるわけですが、キャラゲーとしてみた場合、本作の最大の欠点がココであるといえます。

 挑発に乗ったり捕縛されたりといった台詞が削除されたのも寂しいですが、キャラゲー的に最も致命的なのは「戦闘中の義兄弟・配偶者用台詞」が削除されたことでしょう。100人斬りしたときの王元姫や星彩のデレが聞けなくなったり、救援に行ったときの鍾会の残念っぷりが見れなくなったりと言った点は、婚姻や恋愛イベントを歓迎するキャラゲー重視層からすると落胆では済まされません。

 3~6までの各エンパでは、タイトルごとに大幅にシステムが変更されていたので、台詞の増減もその一環であり、さほど気になりませんでした。しかし今作では6empiresのシステムを流用していることがひとわかりなので、このように前作より劣化した点はひどく目立ちます。告白などの追加イベントはなくてもよかったけど、戦闘用の専用台詞は欲しかったという声もよく聞きます。この点は明白な欠点といえるでしょう。


■武器属性の完全固定化・・・の前にすることがあるよね?

 武器属性が固定化されたことにより、いい属性をもった下位武器がダメ属性の上位武器より強力、といった武器種内での格差はほぼありません。しかし属性間での極端な性能差には全く手が入っていないので、武器種間のバランスはより酷くなっています。

 多段旋風属性で武将を瞬殺できる双鉞や弓、連撃・連鎖・斬撃という鬼畜属性がそろった旋刃盤など、強い武器はとことん強い一方で、病毒(笑)が主属性である錫杖や、手数型なのに連撃もないゲイ扇など、弱い武器は哀しいことになっています。相変わらず難易度のラインを下の方に引いているので無理ゲーということはないですが、武器属性のカスタマイズもできないので、「得意武器種よりも、強武器種を使ったほうが強い」という事態はやはり頻発します。

 そもそもなぜ武器属性自体の性能を調整しなかったのか、非常に疑問です。一部の武器属性があまりにも強すぎる故に武器属性を固定せざるを得なかったのであり、武器属性を上手く調整すれば、カスタマイズ要素を残したままでもよかったはずです。7の発売から2年近くたっているのに、いまだに調整の方向性が見えないというわけでもないでしょうに。

■戦略的要素の拡張・・・だが戦略的要素の無意味さは変わらない

 戦略部分に関する要素が大幅に増えたのはいいのですが、戦略面の重さ自体が大して変わっていません。資金や物資・兵力などの諸要素はオート分だけでも普通に進められてしまうので、特に戦略要素を意識する必要がないのです。あれこれできるようにはなったものの、単にできるようになっただけ、という感じが否めません。

 一応彼我の兵力・レベル・支配地域の数・拠点防衛度・疲労度などによって、敵の強さは変動します。条件によって敵の強さは5倍にも10倍にもなったりするので、戦闘以外の要素も重要は重要です。しかしそれに関わる要素が上記の通り非常に多く、しかもその要素の殆どが数値から推し量れないパラメータのため、「この要素をこれぐらいの状態にしているから今回の戦闘は大丈夫」というラインを推し量ることがほぼ不可能です。「なるべくそれらの要素をちゃんとしておこう」というぐらいしか出来ず、しかもそれは殆どオート任せで充分なので、戦闘外の要素が戦略性として結実していません。

 またやっぱり今回も武将は勢力内所属式で、支配地配備式ではありません。このため土地取り要素は4エンパ以降劣化したきり戻っておらず、「国取り合戦」感は殆ど感じられません。

■秘計の増加・・・でも削られた秘計も・・・

 今回の秘計は頭の「絶招(中国拳法でいう”奥義”)」が外れていることからもわかるとおり、よりお手軽に使えるようになっています。発動時に6empiresのようなカットインも発生しないですし、ゲージの許す限り連続使用も可能です。「軍略」という概念を上手くアクションに落とし込んでいるということでそれはいいのですが、大規模な秘計でもカットインなどが排除されているのはやや寂しいところです。
 
 また伏兵や落石など、削除された秘計も多いのはちょっといただけません。前述したとおり前作6empiresの骨格がそのままなので、削られた点は非常に目立つのです。

■味方武将の強化・・・でも言うこときかねえ!?

 画面内で強くなったのはありがたいですし、味方は画面外でもなかなか強いです。しかし・・・今回味方が指示を全く受け付けません。指示が出来ないわけではなく、指示をしても聞かないのです。指示では防御になっているのに特攻をかけたり、拠点攻撃を支持しているのにある地点から微動だにしなかったりと、命令に関するロジックに完全な問題があります。おまけに現段階でも全く改善されていません。

 これによって味方を上手く動かして勝利を収めるという戦略性が著しく低下しており、結局自分で何とかして勝つしかなく、エンパとしてかなり致命的な欠陥といえます。

■武将の個性の拡大・・・しかし人徳値補正はいささかやりすぎたか?

 各武将にそれぞれ生き様、人徳値補正が設定されたのはいいのですが、友好度に関する人徳値補正が極めて強力な上に、回避する手段が殆ど存在しません。宴会系の政策コマンドを多用して下がり続ける有効度をつなぎとめるしかないのですが、これがなかなか難物です。特に全体的に人徳値は+傾向の武将が多く、-持ちの君主はかなり宴会にコストを割かねばなりません。

 また君主プレイの場合、今期も福利厚生費たけえ・・・ぐらいで済むのですが、宴会が出来ない臣下プレイ時はそうも行きません。君主と人徳値の遠い同僚は勢力をガンガン離れていきます。特に君主の人徳値が低い晋勢力などはこの傾向が顕著で、王元姫ちゃんを目当てに晋軍に仕官しました!というプレイヤーが「数ヵ月後、そこには元気に放浪軍に参加している王元姫の姿が!」という風景を見たりすることになります。

 この点は明らかに調整不足であり、もう少し補正の数値をいじるなり、配下プレイでも同僚の忠誠値に干渉できる仕組みなりほしかったところです。


■7系の戦場を流用したことの問題

 7における各戦場は、各地を一方通行で固められた一本道マップが多く、エンパのシステムとはあまり相性がよくありません。目の前の拠点にいくのに恐ろしく遠まわりしなくてはならない、といった状況も多く、ここはもう少し考慮してほしかったところです。

■人間関係の調整が適当

 今回も6エンパ同様原作の人間関係は完全消失する仕様ですが、一応家族間での婚姻や義兄弟はできなくなっているので、皆無というわけではありません。しかしそれならそれで、専用台詞や血族の推挙イベントぐらいは欲しかったところです。 

COMMENT

 一見してわかるとおり、6empiresの基礎部分をそのまま流用しているため、6empiresのバリエーションモデル的なゲームになっています。あくまで”バリエーション”であって改良作と素直にいえないのは、明白に劣化している部分が多々あるからです。台詞や秘計の削除など、誰でもわかる明白な部分でボリュームダウンしたのは実に痛かった。これだけで評価を下げる人も多いはずです。

 またその点を除いても、シリーズ作品としてはあまり高い評価はつけられません。個々の要素を個別に見れば確かに進歩しているのですが、それぞれの要素に整合性がなく、ゲームとしての方向性が明確でないけどとりあえず手を入れてみた、といった感じの作りになっています。とかく製作者の熱意が伝わってこない、平凡な作品でした。加えて各要素に(デバッグも含め)調整や練り込みがあまりにも足らず、ぶっちゃけた話「駄作」といっても良いでしょう。

 ただし前作との比較をせず、単純に一つの作品としてみた場合、そこまで酷い作品ではありません。ゲームとして致命的に破綻した部分はないし、前作を知らなければ削除された部分も気にならないでしょう。周回要素とエディットの調和性も高く、けっこう長く楽しめます。安価でお手軽に現在の無双アクションを楽しみたいという人にもオススメです。

 あと最後に触れておきますが、他のレビューでも言われている通りバグ・フリーズの類は酷いです。現バージョンではさすがに頻発する事態は減っていますが、オンライン環境がない人は絶対に購入をやめておいたほうがよいです。

   
プレイ時間:15時間以上30時間未満(クリア済)
ヌガーさん  [2015-01-21 掲載]

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総合ポイント
40
(難易度)
1.83
レビュー数
12
スコアチャート 真・三國無双7 Empiresレビューチャート

0%
0-9
16.7%
10-19
8.3%
20-29
25%
30-39
16.7%
40-49
33.3%
50-59
0%
60-69
0%
70-79
0%
80-89
0%
90-100
【60点以上】
-%
【標準偏差】
14.28