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【PS3】ダンテズ・インフェルノ 〜神曲 地獄篇〜

発売元 エレクトロニック・アーツオフィシャルサイト
発売日 2010-02-18
価格 7665円(税込)
レーティング 【D】17才以上対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:アルティメット地獄アクション
■ プレイ人数:1人

【廉価版】
■ 発売日:2010/12/02
■ 価格:3,129円



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
4pt 4pt 4pt 4pt 3pt 2pt 2pt
総合点
67pt

GOOD!

・題材は「地獄」
ダンテの代表作、神曲・地獄篇(Inferno)になぞらえたゲームである。1〜9圏ある地獄の構造やダンテやベアトリーチェ、ウェルギリウスをはじめとする登場人物、ミノスやケルベロス、ルシファーといった地獄側の登場人物も原作そのものだ。まさに文学とアクションゲームの見事な融合と言える。そして秀逸なのがこのゲームのテーマである地獄に関する描写と演出だ。常に呻き声が響き不気味でおぞましくも暗く美しいステージのグラフィック、展開やシーンに合わせて鳴り響くダークで荘厳な音楽がまさに地獄といった雰囲気をドラマチックに醸し出している。そしてぶった切る、ぶっ飛ばす、ちょん切る、真っ二つ、はね飛ばすといった残虐な戦闘アクション、ぐちゃぐちゃ、どろどろ、べっちょりというグロテスクでありながらデザインの洗練された精鋭揃いのモンスター達は気持ち悪いと思いつつも、それとは裏腹についつい見入ってしまう。またイベントや回想シーンに使われているコミカルなアニメーションも独特のシュールさを醸し出していてとても味わい深く、CGイベントシーンについても人物の皮膚や髪の質感共に実写と見紛うばかりのとても美しい仕上がりとなっている。さぁめくるめく地獄巡りに出発しよう。

・立ち回るアクション
敵の行動パターンを覚えて先読み、それに合わせてガードと回避を的確に使いこなし、隙を見て殴りと魔法をたたき込み豪快かつ華麗に仕留める。そして地獄の罪人たちを審判によって「罰する(処刑)」か「赦す(成仏させる)」かを自分の主観だけでチョイスしてフィニッシュする完全なる上から目線攻撃。そんな断罪者としてのダンテをプレイするのもまた面白い。そして最初は殴るだけののダンテが徐々にカッコイイ技や魔法を覚え強くなっていく姿は思わず興奮してしまう。ただ殴るだけのアクションゲーム、ただ豪快に敵を倒すだけの無双ゲームでは終わらない。これこそがこのゲームの醍醐味だ。

・ひらめけ!見極めろ!倒せ!突破しろ!
このゲームのもう1つの醍醐味とも言えるのが謎解き要素だ。それは移動するためのギミックだけにとどまらず、ほぼ全てのボス戦も何らかの工夫をしないと一筋縄では倒せないような仕掛けになっている。それ故にひらめきと見極め、そしてイマジネーションが重要になるのだ。どうすれば進めるのか、どうすれば倒せるのか、試行錯誤を繰り返し先に進めたときの達成感と満足感を味わってみよう。

・暴虐か神聖か
ダンテが前述の審判を行うことにより「罰する」なら暴虐レベル、「赦す」なら神聖レベルがそれぞれ上がっていく。それらのレベルに応じ、敵を倒すことで得られる魂(経験値やお金のようなもの)を支払うことによって様々なスキルをダンテに習得させることができる。スキルには技や魔法だけでなくライフゲージやマナゲージを増やすもの、防御力を上げたりするものまであり自分好みのダンテに育てていくのも楽しめる要素だろう。強力なスキルは必ずや厳しい道のりの一助となるはずだ。ちなみに暴虐レベルも神聖レベルも一般的なカルマのような考え方とは趣が若干異なり、どちらかを上げたらどちらかが上がらなくなるということはなくそれぞれを同時に上げていくことができる。正義も悪も内包した人間臭さ、夢も希望もない地獄にありながらたくましく突き進む主人公ダンテは魅力的だ。

・隠れたやり込み要素
ゲーム内には罪人として登場する歴史上の人物が多数存在する。少々見つけにくい場所にいる彼らを見つけ出し審判による裁きを与えたり、あちこちに散らばってる聖遺物やコイン、石を集めたりと隠れたやり込み要素が実は充実している。特に聖遺物は装備することにより取得経験値が増えたりとダンテを強化していく上でいろいろな恩恵を受けることができ、ダンテが戦うことで聖遺物自体も強化されていくのは何気にゲーマーとして心をくすぐられるところではないだろうか。なおスキルやコレクションは2周目以降に引き継ぐことが可能なのでコンプリートを目指して頑張ってみるのもいいだろう。カスタマイズしたダンテでバリエーション豊かに戦い抜こう。

BAD/REQUEST

・反射神経
戦闘中の画面に「○ボタン」や「△ボタン」というアイコンが突然表示されることある。これは見ての通り○ボタンを押せ、△ボタンを押せという意味であり、主にボスの特定部位を破壊したり、とどめを刺すときの演出(コンボ)の一環としてこのような操作を要求されるのだが、あまりにも何の前触れもなく唐突に指示されるので押すのが遅れてしまったり、慌てるあまり押し間違えたりしてしまうことがよくある。しかもこれをミスしてしまうと何度もやり直しをさせられるハメになる。単純に「できるまでやれ」とか慣れの問題とも言えるが、強いボスになればなるほど押さなければならないボタンが増えたり、タイミングが難しかったりでこの理不尽さが増す。コンボが決まったときの演出は確かに爽快ではあるのだが、操作している側はなんだかモヤモヤとした不完全燃焼さだけが残ってしまう。ボタンを押すだけならまだしも戦闘も含む様々なシーンで○ボタン連打が要求されたりするのも「何故ここで連打?」となんとも解せない。さらに一部のイベントにおいては太鼓の達人やポップンミュージックのような操作が要求されることもあり、地獄に来たはずなのにいつの間にかゲーセンということも。ゲームを飽きさせない工夫とも言えるのだが、世界観を大事にして欲しいと思ってしまう部分だ。

・セーブポイント
ボス戦前、ボス戦直後、面倒な謎解きやギミック周辺など欲しい場所にセーブポイントが無かったりする。挫折してしまいがちな初見でのプレイにおいてセーブポイントとは言うなれば命綱である。もう少しこまめにセーブさせてくれても良いのではなかろうか。しかも迂闊に変な場所で死ぬとアイテムの取り直し、イベントのやり直し、謎解きのやり直し、再び同じ敵との戦闘などなど・・・こちらの想定以上に巻き戻されてしまいモチベーションを一気に削り取られるようなことも少なくない。なんとも気が利かないと思ってしまう部分である。

・カメラワーク
このゲームはプレイヤー自らがカメラを動かすことができない。つまり与えられた視点でのプレイとなるのだがそのゆえにギミックが見えづらかったり、死角となる場所が多かったりすることがある。どうしようもなく気になるというレベルではないが、この手のアクションゲームではカメラを回して周囲の状況や目標との距離感を確認することが定石となりつつある中、自分の技量に自信があっても確認できなくて死ぬ、見えなくて死ぬというのはなんとも理不尽である。

・ボス戦
このゲームにはたくさんのボスが存在する。そしてほぼ全てのボスにおいて初見では何をどうすれば倒すことができるのかわからないようになっている。闇雲に突っ込むと大抵の場合において返り討ちとなるので、まずは動きを見極めることがキーポイントとなるのだが、ボスによっては見極めがままならないだけではなく、何がなんだかわからないうちに一方的に攻撃を受けて倒されてしまうなんてこともしばしば。これをやりがいと感じるか理不尽と感じるかによってこのゲームの楽しさや評価が分かれてしまうところだろう。

・初見の難易度
上記BADを総じて言えることなのだが、とにかく初見でのプレイはかなりのスパルタである。敵の動きやボスの弱点、ギミックの動かし方などを知りつくした上でプレイする2周目3周目ならばまだしも、初見のプレイではひたすら理由もなく意地悪された子供のような心境で、ただめんどくさい、ただやらされてる感満載のプレイに終始してしまう可能性がある。行き過ぎた謎解きはゲームのテンポを悪くするだけでなく、人によってはモチベーションが著しく低下してしまう要因になりかねない。逆に言えば1周目をがんばってクリアすれば2周目以降は苦労が減るわけでそこに希望を持ってプレイできるなら、かなりのやりごたえがあると言えるのだが人を選ぶところだろう。

・字の荒さ
洋ゲーなので仕方ない部分もあると思うが、画面表示上の英語から日本語に置き換えられた部分においては30年以上前のワープロで作ったようなギザギザで荒い文字(フォント)になっている。誤植があったりするわけではないのでもちろん致命的な欠点ではないのだが、雰囲気を味わいたいゲームであるが故に気になってしまう部分だ。なお翻訳そのものや吹き替えは元が叙事詩であるが故の難解な表現があるものの非常に良い。

COMMENT

40インチ HDMI接続 5.1chサラウンド
「デモンズソウルの世界観・理不尽さ」と「アンチャーテッドのアクション性・謎解きギミック」を足して「3」くらいで割ったゲームである。「2」ではないのだ。どういう意味なのかは各々感じ取って欲しいと思うが、つまり「めんどくさい」と「心が折れる」は似てるようで意味が違うということなのだ。決して出来の悪いゲームではない。むしろ世界観の表現手法やビジュアルの質は非常に高く、近年のキレイなだけで華美すぎる国産ゲームよりよほど好感が持てるくらいだ。しかし謎解き要素とアクション要素のバランスの悪さから来る消化不良感、そこから生まれる些細なつまずきが多く、プレイヤーの爽快感を阻害してしまいそうな点がとても残念だ。つまり最近のゲームにありがちな「初見で投げてしまうゲーム」に陥りやすいパターンなのだ。とは言うもののBADを気にしない人には相当やりごたえのあるゲームあることは間違いないので、興味が沸いたなら是非プレイしてみて欲しい。

Inferno(地獄篇)が出たのだからPurgatorio(煉獄篇)やParadiso(天国篇)などの続編が出るのだろうか。今作では若干荒削りな面が目立ってしまったが、題材としては非常に秀逸であったためにかなりの神ゲーに化ける可能性を秘めている。ぜひ続編に期待したいところだ。

   
プレイ時間:30時間以上60時間未満(クリア済)
KASABIANさん  [2010-03-11 掲載]

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総合ポイント
64
(難易度)
2.00
レビュー数
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