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【PS3】FINAL FANTASY XIII(ファイナルファンタジー13)

発売元 スクウェア・エニックスオフィシャルサイト
発売日 2009-12-17
価格 9240円(税込)
レーティング 【B】12才以上対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon(廉価版)
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:ロールプレイングゲーム

【廉価版】
■ 発売日:2011/07/21
■ 価格:3,990円



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
3pt 5pt 2pt 1pt 0pt 2pt 3pt
総合点
30pt

GOOD!

1)奥行きのある映像美
 「Good」に自信を持って上げられるのはやはり美麗な映像だろう。
 特に本作における映像の魅力はCGの完成度に付加された「奥行き」だと思う。
 それは単に「フィールドが奥面まで作りこまれている」という意味ではなく「背景であるフィールドで繰り広げられる別の話が見える」という点が素晴らしい。
 例えば本作1章で背景の通路で敵と戦っている人間が見える。これは単に同じ動きを繰り返し「戦っているような格好」をしているのではなく、しっかりと決着が付く一つの物語として完結されている。また下界に下りると広大なフィールドを歩く巨大生物や、草原を走り回るモンスターなどを見ることが出来る。
 こういった主人公とは関係ない場所で繰り広げられる何気ない動きの集積が、作品の映像全体に奥行きを作り出し、表面だけではない美しい映像という物を作り上げている。

 ただ、それ故に惜しい部分もある訳で……。

BAD/REQUEST

1)薄っぺらな物語
 本作の物語の全体像は「“ルシ”という“個人”が世界と戦う物語」だと感じる。
 話は主人公たちがルシになることで始まり、集合離散をしながら最終的には同一の敵を倒すという目的で纏まっていくのだが、その大義名分の中で個々人の想いというものが次第に薄れていく。
 その所為で彼らは六人でありながら人間性を排除され、最終的には「ルシという集合存在」に変容してしまったと言える。
 それは作中に街や村が存在せず他人との関わりが全体を通して乏しい中で、物語をそれこそ「独りよがり」の話へと変貌させる結果となった様に思う。

 細かい部分では自己完結が多かったのが本作の物語の悪い部分だろう。
 全体的に頑固な人間ばかりが登場するのだが、彼らは他人の話にまともに耳を傾けず、しかし少し状況が変わると勝手に心変わりして納得してしまうという状況が本作には多い。
 また主人公たちは未来を語らない点。旅の目的としての理想像というのが見られないことも気になった。主人公たちは常に状況に流されるばかりで、最終目的も「ラスボスを倒して○○をする」ではなく「ラスボスを倒す」という過程自体が結果に挿げ変わってしまった印象がある。

 更に細かい部分で、聖府の演説の稚拙さは怒りを覚えるレベルだ。
 「我々の平和の為に死んでくださってありがとうございます」と臆面も狂気もなく銃撃戦の最中で真面目に語る指導者の存在によって、それの統治を受け入れている世界構造の稚拙さというのをプレイヤーは嫌でも感じてしまうことになる。
 同じく挿入されるヴァニラの語りの説教臭さもイライラさせる。しかも物語がヴァニラ自身の説得力を補強していないため、綺麗ごとを並べただけの上っ面だけの言葉に感じられてしまった。

 まあ何にしても本作の物語は「最悪」の域であることは間違いないだろう。


2)止まらない戦闘はやがて面倒に……。
 タイムバーを直接使用する戦闘は新しいと感じたが、しかしコマンド選択中に敵の行動を停止できないというのは少々気になった。
 リアルタイムバトルは良いと思うのだが、直感的な戦闘ではなく相変わらずのコマンド選択形式であるため(これまで通りの戦い方をしようとすると)短い時間で「コマンド→スキル選び(最大6回)→目標選択」と最大で8回も○を連打しないと攻撃が始まらない。
 しかも複数の敵を同時に選択は出来ず、仲間は全て作戦任せのCPU操作であるから、お世辞にも自由度が高い戦闘とは言えないだろう。

 また上記理由からオートでコマンドを選んでくれる「たたかう」を使うことが多くなるが、そうなると戦闘中に行うことは状況に合わせての「作戦変更」と「たたかう」を選ぶ二つだけになり、頭も殆ど使わない単なる作業を延々と「させられている」という感覚に陥ることもある。

 そして戦闘後の評価も毎度繰り返されることでやがて面倒臭くなってくる。
 「評価→アイテム入手(手に入れなくても表示)」と二種類の表示が戦闘終了後に3〜5秒はさまれることで、戦闘開始や戦闘中のスムーズな動きが狂わされ、特にやり込もうとすると邪魔臭く感じられてくることになる。

 戦闘は「もう少し頑張りましょう」というくらいだろうか。


3)演出はB級
 Goodで書いたとおり映像自体は非常に綺麗に仕上がっていると思う。
 しかし映像を如何にして見せるかという点については評価を下げざるを得ないと思う。
 特にムービー中及び戦闘中のカメラアングルは「最悪」だ。ぐるぐるとカメラが弧を描いて回転したり、めまぐるしく映像が移り変わったり、激しいシーンは何が起こっているのか理解できないという部分も幾つかあった。
 凄い映像を作ったらしいことは分かるが、あくまでも「作ったのが凄い」のであって、映像として素晴らしいかというと微妙なものが多すぎる。


4)音楽は軽快というより軽薄
 今回の物語は世界の構造やら陰謀やらが(中途半端に)内包されているわけだが、その世界観を盛り上げるはずの音楽に、それらを印象付ける重厚さが無い気がした。
 特に通常戦闘音楽は軽すぎる。最終ダンジョンですら遊びに行っているかのようなノリである。


5)寄り道要素はほぼ皆無
 ミニゲームのような遊び要素は本作には全く存在しない。
 せいぜいミッションと称した普通と変わらないバトルがあるだけで、物語要素も殆ど無いために面白み、またゲーム性に欠けている。

COMMENT

 正直言ってゲームと呼ぶには余りにも荒削りというほかはなく、かと言ってシナリオやカメラアングルの所為で、映像作品として素晴らしい出来ということもない。
 映像作りに手を加えすぎて開発時間が足りなくなってしまったのかと考えてしまうこともある。

 通販ショップ、成長システム、改造システム、各種インターフェースの文句を言えばきりがないわけだけど、とりあえずFF7のゲームセンター、FF8のカードゲーム、FF10のブリッツボールのように、ミニゲームが一つでもあれば「移動と戦闘だけ」とは言われなかったに違いない。
 例えば折角広い草原をモンスターが歩いているのだから、アフリカよろしくモンスターの写真を撮るような平和なミニゲームが在っても良かったと思う。モンスターの巣に何か取りにいってもいい。
 こうして少し考えるだけでも遊び要素は幾つも産まれてくる。だから本作はやりようによっては全く違う成長を遂げただろうと思うし、それがまた私は残念でならない。


 まあ、詰まるところ「それはゲームである」という本質を忘れてはいけないのだ、ということだろう……。

プレイ時間:100時間以上(クリア済)
山田さん  [2010-02-15 掲載]

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総合ポイント
60
(難易度)
3.10
レビュー数
450
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【標準偏差】
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