PlayStation mk2 :: PS4評価レビューサイト

GOOD!

・グラフィック

　桁外れにきれいです。
　ムービーはもちろんそれこそ髪の毛一本までクリアに表現されるレベル。
　動きもとても自然です。
　通常のゲーム画面も圧倒的に美しい。
　PS3ソフトの中でも数段飛び抜けた水準。
　11章の広大な大地とか、胸が震えます。

・音楽

　植松さん抜けてからのFF音楽は微妙でしたが、
　今作はよかったですね。
　作中を貫くメインテーマがとてもきれい。

BAD/REQUEST

・ストーリー

　んーまあ、分かってしまえば実際は
　そんなに複雑な話だったわけでもないんですが・・・。
　とにかく、ゲームをやってムービー見て、
　それだけだと全然分からない。
　Tipsで文字で読んでようやく
　「あれはああいう話だったんだ」とわかるレベル。
　なので、ある程度進んだところで
　必ずTipsを読み直さないといけないので
　それでゲームのテンポが切れちゃう。大変よろしくない。

　結局のところ、ムービーを「きれいな絵を見せる」視点で
　作りすぎていて、「ムービーを見れば話が分かる」ように
　作ってないからこういうことになる。
　ムービーは話を語るための「道具」であって、
　ムービーを見るためにムービーがある訳じゃない、ってことは
　いいかげん分かってほしいものなんですが・・・。

・キャラクター

　各人の思考回路や行動が、正直理解の域を超えている部分が多い。
　なぜそこでキレるの？なぜそこで笑うの？
　みたいなことが次から次へと。
　スノウの性格は嫌いですが、まあスノウなりに一貫してるし、
　ホープ、ファングやサッズあたりはそれでもましな方。
　ライトとヴァニラは一体本当はどんな性格で何を考えていたのか、
　描かれている範囲では理解すらできない。

・ゲームの快適さ

　せっかくのきれいなゲーム画面なのですが、
　11章以外はそのきれいな世界をほとんど冒険できません。
　ただひたすら前へ進むだけ。
　「縦スクロールレールプレイングゲーム」と
　よく揶揄されますが、ぴったりです。
　それでいてザコ敵は多いし堅いしでとにかくだるい。
　よく死にますが、死んだところでその戦闘の頭からやり直し。
　楽は楽ですが緊張感がなくて、更に眠くなります。
　11章にたどり着くまでに20時間以上、下手したら30時間一本道をすすむ。
　結構きついものがあります。

・戦闘

　よく死ぬという意味では、いいバランスではあると思います。
　ただ・・・正直ひたすらだるい。
　ザコとの戦闘に何で毎回こんなに時間をかけなければいけないのか・・・。
　しかも毎回毎回同じような敵ばっかりで。
　クリスタリウムの上限が厳しいので、レベル上げで無双することもできない。
　味方キャラの性能もほぼ「お仕着せ」になります。
　ボス戦も実際には工夫の余地はあまりありません。
　攻略法はだいたい一つで、それを機械的にこなすだけ。
　時間はかかるし、よく死ぬし、きちんと攻略法を練らないと勝てないんですが
　それが爽快感に何一つつながらず、ひったすらだるさばかりが先に立つ。
　これだったら、ザコキャラはシームレスで勝手に消えていき、
　ボス戦はガンビット設定して
　裏でテレビ見てれば終わってた12の方がずっとましです。

COMMENT

・総評

　少なくとも、作り手の側に、
　この作品を買った人に十分楽しんでもらいたいというような意欲は
　全くないように思えます。

　作り手がやりたいことをやる、作り手が見せたい物を見せる。
　そうすればみんな勝手についてきてくれる。
　ついてこない人はついてこなくてよろしい。
　そういう作品です。

　作り手は、その意図したところを完璧に表現しきったと思います。
　この作品を、これ以上上手に作るのは難しいでしょう。
　リメイクしたとしても伸びしろはおそらくほとんどない。
　それくらい、設計図通りに完璧に仕上がっていると思います。

　毎回毎回丁寧にtipsを読んでストーリーを丁寧に復習し、
　歴史背景と時代背景と各勢力の動向についてきちんとメモを取り
　各人のキャラクターも十分につかんだ上で
　ムービーの内容をきちんと裏読みして全部理解し、
　一見だるいだけの戦闘も徹底的に研究して
　秒単位のタイムアタックに精を出し
　どんなときでも風景のきれいさを新鮮な気持ちで愛でることが出来る。
　そういう人であれば、この作品は間違いなく一生物の名作です。

　私には、到底付き合いきれません。