【PS4】真・三國無双8
発売元 | コーエーテクモゲームス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2018-02-08 |
価格 | 8424円(税込) |
レーティング | 【B】12才以上対象 セクシャル 暴力 恋愛 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:タクティカルアクション ■ プレイ人数:1人 PS4 Pro ENHANCED:PlayStation 4 Proでプレイすると一部の映像表現が強化されます |
- 総合ポイント
- 51
- (難易度)
- 1.77
- レビュー数
- 13
スコアチャート
GOOD!
〇無双×オープンワールドという新たな試み
オープンワールドゲームといえば今でこそありふれているが、それでも日本のゲームとしては珍しい為、そういう意味ではコーエーの新しいものに取り組む姿勢に関しては評価できるところである。(オープンワールドが今更新しいシステムかというのは難しいところであるが)
そんな訳でOW化した本作ではあるが、それに伴い戦闘システムも従来から多少変化している。
攻撃方法にバリエーションが設けられており、敵の状態に合わせて変化する「フロー攻撃」、敵との状況に応じて変化する「リアクト攻撃」、攻撃の仕掛け方が変化する「トリガー攻撃」など、単純ながらもアクション要素は増えている。
とはいえそこまで複雑なものではなく、ある程度連打しているだけでもコンボは繋がり、特に良い点としては敵との距離を一気に詰めて攻撃を仕掛られる為、敵から敵へと攻撃できてアクション面は良くなっている印象である。
〇圧倒的武将数
シリーズ最多の90人というプレイアブルキャラがおり、主だった三国志の面々はほとんど登場しているだろう。
ただ比較的長い時間軸を使った作品なので、一つのエピソードが短くなってしまい、キャラによってはちょっと登場してすぐ退場、というのも多い。
過去作のように一人のキャラに焦点を当てた物語という感じではないので、その辺の要素を期待していると裏切られるかもしれない。
〇広大なフィールド
北は万里の長城から、南は南中まで、かなり広いフィールドになっている。
普通にプレイするだけなら、恐らくは半分も地図は埋まらないだろう。
砂漠から雪山まで、広大な中国大陸を上手く使った景色の変化は取り入れられている。
残念なのは、広いフィールドだからといって、特に何かがある訳ではない、というところか。
BAD/REQUEST
〇全体的に粗い作り込み
オープンワールドにした弊害か、本作は全体的に作り込みが荒い。
グラフィックはPS4Proなら多少は良好になるものの、世界観に引き込まれる、というレベルではない。
ノーマルのPS4なら、一世代前のグラフィックというレベルなので、その辺には期待してはいけない。
また目玉であるオープンワールド自体も必ずしも成功しているとは言えないだろう。
探索→強化→合戦という流れが一つのマップで行えるようになった為、世界観に入り込めるという意味では多少は評価できるものの、一つ一つの要素を取ってみれば、雑な作りになっている。
探索はとってつけたような収集要素があり、その辺に落ちてる素材や鉱石を集めるというだけ。
釣りや狩りも出来るが、釣りは糸を垂らしてボタンを連打するだけ。狩りに関してはただ動物を倒すだけで、従来の要素にちょろっと手を加えただけでしかない。
「OWだからそれっぽい要素を盛り込もう」という出発点はあっても、「じゃあ無双に合わせてブラッシュアップしよう」という終着点は見つからなかったようである。
またOWらしく、少し野山に行けば高レベルの敵が出たりするが、これもとりあえずそういう要素は入れました、という感は否めない。むしろ点々と強敵が配置されているのはいかにも無双っぽい雑な感じはなっている。
強化に関しては新たな要素としては「宝玉」というのがあり、装備につける事で攻撃強化したり属性を付与したりできる。
まあ似たような事は過去作でも出来ていたので、そこまで目新しいものではない。
また強力な武器は特定のアイテムと「竹簡」というものを交換して作成する事になる。要はレシピである。
任務を受注して交換用アイテムを入手し、レシピと交換して、探索で素材を入手して武器や装備を作る、というのが今作の一連の流れではあるが、まあ今までと同じ要素をオープンワールドに合わせて細分化したという程度だろう。
最後が合戦であり、本作では「任務」と呼ばれるものになっている。
従来のようなステージ制ではない為、街や砦、関といったものを移動できる点は中々に面白い部分ではある。
しかしその弊害も多く、特にイベントなどの演出面はかなり弱くなっている。
例えば三国志の中でも有名な「赤壁の戦い」などは、過去作ではれば見せ場の一つとして取り上げられたりもして、イベントにも力が入っていた。
本作でも赤壁大戦として、1章丸々使っているので力は入ってるのだが、いかんせん演出がほとんど無いので、盛り上がりなどは全くない。
長江を埋め尽くす魏の軍勢もなければ、燃え上がる軍船もほとんどない。数隻の船がぼやーっと動いてちょろっとイベントがある程度。OWだからどうしても戦況の変化は入れにくいのだろうが、それにしても残念な出来である。
また「三国志」という一つの流れをストーリーにしている為、キャラの個別のストーリーは少ない。
一応全キャラでストーリーモードをプレイ出来て、EDも個別にはあるものの、ストーリーに変化は乏しい為、同じ勢力で何度もプレイするには中々の忍耐が必要だろう。当然ながらif要素なんてほとんど無い為、蜀でどれだけ頑張っても滅びるし、曹操でどれだけ戦っても赤壁では勝てない。このシステムで歴史の変化を作るのは難しいとしても、ぜひとも次回作ではその辺りを頑張ってほしいところではある。
〇謎の要素「隠れ家」
拠点などの近くに「隠れ家」というものがあり、金を払うと購入できる。
隠れ家では家具を配置し、無双武将を招く事ができる、というのが売りの一つでもある。
しかしながら、この隠れ家の目的がほとんど見えないのである。
招いたところで家の中で何ができるという訳でもなく、ちょろっと会話をしたり、たまにアイテムをくれたりする程度。
しかも招ける武将は出撃中ではない武将に限るという制約があり、これのせいで自勢力の武将はほとんど招けなかったりする。
仕方なく、敵勢力の武将と仲良くなるという、意味不明な要素になっている。
まあキャラゲーとしての側面をこれで何とかしようとしたのかもしれないが、それならもう少しやりようがあったのではないだろうか。
数回会うと親密度がマックスになり、意味深なセリフが聞けるようになる、というだけの機能と言えばそれまでではあるが。
COMMENT
プラチナトロフィー取得済み。
誤解を恐れずに書くならば、本作はあまり面白くなかった。
しかしだからと言って、駄作やクソゲーなのかというと、必ずしもそうではない。
従来の作品をイメージし、従来の作品を求めるユーザーにとっては良作ではないものの、どこかしらにはキラリと惹かれるものはある。
その為、点数も多少はゲタを履かせており、実際グラフィックは1点でもいいし、オリジナリティも4点つけるほど独自性があったかと言われると難しいところではある。
しかし本作には採点方式では測れない何かがあるのは間違いないだろう。作りは荒い為、点数は辛くなるのは仕方ないが、それ以外の部分では評価できる点もある。
個人的な意見としては無双とオープンワールドは相性が悪かった、というのが発見できただけでも、本作には価値があると思う。
日本のメーカーは作る前から諦めてしまうところも多いが、今作の「とりあえず作ってから考えよう」という姿勢は評価できる。
結果として次回作(あるいはエンパや猛将伝)に繋げられるなら、こういう実験的な作品もいいではないか、と自分に言い聞かせる事もできるだろう。
まあ面白い実験作であるのが一番ではあるのだが、マンネリ化した駄作よりは良かったのではなかろうか。
次回作が従来のようなステージ方式に戻るのか、あるいはOWをより進化させたものを作ってくるのか、その辺りの考え方は中々に興味深いものではある。