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【PS3】テイルズ オブ ヴェスペリア

発売元 バンダイナムコゲームスオフィシャルサイト
発売日 2009-09-17
価格 7800円(税込)
レーティング 【B】12才以上対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon(廉価版)
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:「正義」を貫き通すRPG
■ プレイ人数:1人

【廉価版】
■ 発売日:2012/08/02
■ 価格:3,800円



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
3pt 4pt 2pt 5pt 4pt 3pt 2pt
総合点
76pt

GOOD!

※先にXBOX版をプレイ済み。


グラフィックは決して超美麗というワケではないものの、人物もモンスターも可愛らしいデザインであるほのぼのした絵柄は個人的に好きだった。美しいとは違うが、温かさがある。


キャラクターが良かった。(一部除く。これはBADにて後述)
賛否両論ある主人公のユーリだが、自分は全く気にならなかった。確かに粗暴な振る舞いや発言が見受けられるが、あの程度なら「個性」として割り切れるレベル。特にカロルに対する接し方は優しさがあって好感が持てた。(ギルドの名前を決める時や、料理関係のスキットなど)基本的にクールな所や「法で裁けない悪人には血の制裁を加えるしかない」という思想がいい意味で主人公らしくなくて良かったと思う。
カロルはとても好きになれた。全キャラクターの中で最もよく成長が描けていたと思う。個人的にはナンとの掛け合いがカロルらしくて良かった。
レイヴンとジュディスは、見た目通りのキャラだったが嫌いじゃなかった。ジュディスに関しては少し納得いかない箇所もあるが(後述)全体的に見ればこの二人は上手く機能していたと思う。
フレンが使用出来るようになったのは嬉しい。というか、むしろ何故XBOXでは使えなかったのかが謎だが。ユーリと正反対の性格が、互いの特徴を上手く出せていた。

こういった魅力的なキャラ達の、戦闘終了時やスキットでの掛け合いがこのゲームの一番のウリではないだろうか。また、どのキャラクターも声優が非常に合っていて良かった。



戦闘が非常に面白い。自分は基本的にユーリしか使わなかったのだが、操作が簡単なのが何よりも良い。
ユーリがやはり一番使いやすいが、他のキャラも皆総じて使いやすくて感動した。この手のゲームには往々にして「非常に使いづらいキャラ」がいるものだが、このゲームにはそれがない。皆それなりに使えるのが嬉しい。
術や秘奥義の演出は結構好きだった。
付けているスキルによって術技が変化するシステムが面白いと思った。攻略本などを見なければどのスキルがどの術技に対応しているのかわからないが、これによって使える術技が増えるので戦闘の幅も広がる。



ボリュームの多さが圧巻。メインシナリオ自体がかなり長いと感じたが、サブイベントを初めとするやり込み要素が非常に多い。時限イベントが多いのが玉に傷だが、一周しただけでは到底やり尽くせないボリュームは素晴らしい。特にPS3版は隠しダンジョンが2,3あるので良い。
メインシナリオもサブイベントもボリュームがあるし上述の様にキャラクターと戦闘が良いので、作品に惹かれ時間を忘れてプレイしてしまう。全ての要素をクリアしようと思うと100時間はプレイしてしまうと思われる。この為、熱中度には5をつけた。
まあPS3版でのボリューム増量は、XBOX版を買った自分としては若干複雑な面もあるが。



ゲーム中いつでも難易度を変えられるのは非常に良いシステムだと思う。これに関しては反対意見もあるようだが、敵と戦うのが面倒な時にイージーにしてサクサク進めたりしてとても便利。難易度を下げても経験値が変わらないのもGOOD。ライトユーザーにもちゃんと配慮してあって良い。



各キャラクターに与えられているコスチュームの種類が非常に多くて良かった。ゲーム中だけであれだけ出しているのなら、なにもDLCなどに手を出さなくても良かったのに、と思う。

BAD/REQUEST

長くなってしまうが、全て読んでくれれば幸いです。


まず、新キャラのパティ。キャラ自体は嫌いじゃないのだが、このキャラに関わる話がどうしても後付け臭く、なおかつ説明しきれていないので最後まで何が何だか判然としない。後付け感が出るのは仕方ないとしても、もっとわかりやすく話を作る事は出来なかったのだろうか。
また後付けキャラである為ストーリーの本筋と関係ない部分が多く、新たに付け加える必要があったのか疑問。これなら無理に加えない方が良かったのでは。



ヒロインのエステル。序盤は「天然なお嬢様」を前面に押し出していて、ユーリとの掛け合いが微笑ましかったのだが・・・・・中盤から目先の問題に振り回される様になって歯痒い行動が目立つようになってしまった。それでもリタに比べれば遥かにマシだが。



序盤の「エフミドの丘」のボスの異様な強さ。ゲームをクリアするまで、ここ以外でゲームオーバーになった事がないのだが、ちょっとこのボスだけが頭一つ抜けて強い。XBOXでもPS3でもゲームオーバーになった。このバランスの悪さは一体・・・・・



音楽は良くなかった。耳障りではないが、あまりに薄過ぎる。耳に残ったのはダングレストの曲と戦闘曲くらいでほとんどの曲は思い出せない。同じナムコの「トラスティベル」の作曲を手掛けた人と同じ人が作曲したとは思えない程クオリティに差があってガッカリした。よってサウンドは2。


メインシナリオにしかボイスが入っていないのが残念。サブイベントには声はまず入っていない。容量とか声優の負担とか色々あるのだろうが、せっかくリメイクしてボイスも増やしたのだから、もっと徹底して欲しかった。メインシナリオやスキットでガンガン喋るキャラ達がサブイベントになった瞬間声を出さなくなるのには違和感を感じる。



このゲームはキャラのレベルを200まで上げる事が出来るが、HPとTPの上限が低い。その他のステータスがカンストする事はないが、HPとTPに関してはレベルが100になったぐらいから限界に達してしまい、それ以降伸びなくなる。まあHPは防御力が高くなればダメージ自体が減るのであまり問題はないが、TPはいくらレベルを上げても消費量が一定なので、途中でカンストしてしまうと困る。このせいで消費TPの多い術技を使うのをためらってしまう。TPの限界値も9999にして欲しかった。



DLCの存在及び価格。ゲーム中で手に入らないコスチュームを有料で販売する商法は汚いし、加えてその料金が一着300円と有り得ないくらいに高い。操作可能な全キャラクターにつき2,3着のコスチュームがあるので、全部買おうとするとゲーム本体の価格を優に超える。こんな馬鹿な話はない。
なんらかの形で、ゲーム内で全て入手出来る様にするべき。金を払ってゲームを買った消費者に対して不誠実なシステムだと思う。



そして、このゲーム最大の問題点。それは操作キャラの一人、リタ。自分はこのリタが、本当にどうしても受け付けられなかった。今までゲームをやってきた中で、一番性格が悪くて嫌なキャラだ。

まず「15歳にして、その道で右に出る者はいない天才魔道士」という設定から自分にはキツかった。リタは10歳から研究を始めたという設定だが、そんな子供がたったの五年で極致に達する事が出来てしまう学問というのはどれだけ低級なのか。とてもこのゲーム内の世界の根幹を握る学問とは思えない。この時点でリアリティが著しく欠如しているので、プレイしていた自分はちょっと冷めてしまった。

さらに設定の破綻だけならいざ知らず、最大の問題はその性格。

自分が天才である事への絶対的自信だか何だか知らないが、全て「自分は正しい」という考えで動いている上に何故か誰に対しても不必要なまでに攻撃的。まだ15歳の子供の分際で21歳のフレンを「あの青臭いの」などと言ったり、大して歳が変わらないカロルをいつまでも「ガキ」呼ばわりする上に、カロルやレイヴンを事あるごとに殴るし「殺す」といった発言も平気でする。
何かにつけて「うざい」「うっさい」「バカっぽい」と言うのも不愉快。
中盤からエステルに対してだけ過剰なまでの保護意識を見せるが、エステル以外の仲間の事を「大切」と思っている描写がほとんどない。(特にユーリやカロル)
ここのレビューではユーリの事を「不遜」「自分勝手」と批判している意見を数多く見かける割にリタに関する批判がない。しかし「国立の施設で働き、国の予算で好きに研究させてもらっているのに義務である国からの任務を断る」など、正直個人的にはリタの方が余程自分勝手な性格をしていると感じられた。勿論上述の通り、誰に対しても上から目線で非常に不遜。

リタの問題に拍車をかけているのが、周囲の反応及び制作側の偏愛。

ゲーム内でユーリやエステルを批判するキャラはいるが、リタの事を批判するキャラは皆無。リタを知る者は例え大の大人であろうとリタを見ただけで震え上がり「すいませんでしたー!」と尻尾を巻いて逃げ出す始末。現実で考えてみれば、あんな子供が偉そうに物を言っても大人は適当に受け流すハズ。それなのに「全ての人物がリタに畏敬の念を抱いていて反論の一つもロクに出来ない」という状況が非常に非現実的。

加えてストーリーを進める上で「リタの存在は欠かせない」というヒロイン級の扱いを受けているのも不可解。何か問題が起こると、その解決策はほぼ全てリタが考え付く上にその策は確実に成功する。仲間達は口々に「さすがリタ!」「リタならきっと何か考え付いてくれる」などと言い完全にリタマンセー状態なので嫌になる。
極端な話をしてしまうと、「リタ以外の仲間達の内の誰かが途中でいなくなったりしても世界には何の影響も及ぼさないが、リタがいなくなった瞬間世界の滅亡が決定する」レベルに他キャラと扱いが違う。正直ユーリやエステルがいなくても、リタさえいれば世界を救う事が出来る。それはRPGとしてどうなのだろうか。終盤になればなるほど、この色が強くなっていく。
更に、主人公であるユーリ以外の仲間はストーリーを進める上で必ず一度は長期離脱をするのに、リタだけはそれがない。この特別扱いも不愉快だった。

上述の通り、ストーリーを進める上では主人公のユーリと比べ物にならない程重要なポジションについている事に、制作側の偏愛を感じずにはいられない。
いかにも一部の人が喜びそうな性格付けや、突然「にゃーん!」などと猫語を喋るところなどは、あからさまに一部の層のユーザーのみを狙っている。「こういうキャラ、好きでしょう?」といった制作陣の考えが透けて見える。確かにそういうキャラが好きな人はいるだろうが、それを超重要ポジションに置いて前面に出されてもその手のキャラに興味がないユーザーにとっては苦痛でしかない。
誰が主人公で、誰がヒロインなのかをちゃんと考えてキャラクターを作ってほしい。



仲間になるキャラの多くが何か過去に傷がある、みたいな雰囲気を出しているのに、それを掘り下げる事なくゲームが終わってしまう。前述のリタの性格崩壊も、過去に何か大きなトラウマがある、みたいな設定ならまだ理解出来ただろうが、そういったキャラ一人一人に関する掘り下げがほとんどないので宙吊り。掘り下げないのは別に構わないが、だったら思わせぶりな発言をさせないで欲しい。



キャラに関してもう一つ気になったのが、男女の年齢バランス。女性は十代ばかり出てくるのに男性にはほとんどいない。

二十歳を越えてる女性キャラは恐らくカウフマン程度しかいないのに対し、逆に男性キャラで二十歳を下回っているのがカロル、ヨーデル、ウィチル程度しかいない。騎士団とギルドに関係するほぼ全てのキャラが男性である事を考えると、この年齢層の差は不自然と言わざるを得ない。

しかもジュディスが19歳というのは一体どういう事なのだろう。発言を見る限りどう見ても二十代後半から三十代だろう。制作者としては何としてもジュディスを十代におさえたかったのだろうが、この不自然な年齢設定が逆に悪く働いている。
ジュディスは割と誰にでも説教をするが、正直二十歳にもなっていない様な「子供」に説教される覚えはないだろう。ジュディスの年齢が二十代後半だったら説教の言葉にも説得力が出るが・・・・・19歳に説教される21歳のユーリ、というのはあまりに滑稽な構図ではないだろうか。この妙な年齢設定のせいでジュディスの言葉は全く胸に響かなかった。



あと、騎士団の俊英という設定であるフレンの直属の部下が「十代の女性」と「十代の子供」というのは一体なんなのか。何故成人男性が一人も要職に就いていない?制作陣は実際の軍隊などをもっと知るべきだと思う。あんなふざけた編成の部隊などあるハズがない。些細な事だが、こういった細かいところに全くリアリティが感じられないと現実に引き戻されてしまう。



サブイベントが多いのは非常に良かったのだが、なんだか特定の嗜好をもった人に媚びるような物が妙に多かった。リタに関するイベントはそれが顕著でちょっと引いてしまう。猫耳とか、猫と「にゃー」だけで会話しようとするとか、ちょっと勘弁して欲しい。このゲームをやる全ての人がそういう嗜好を持っているワケではない、という事がわかっていないのだろうか・・・・・



同じテイルズシリーズのグレイセスが結構シリアスな空気だったのに対し、こっちは全体的におちゃらけた雰囲気が漂っている。シリアスが好きというワケではないし明るい雰囲気の方が好きだが、ヴェスぺリアはどのキャラもふざけすぎていて一人一人の悩みが薄い気がする。

COMMENT

「なにかほのぼのしたゲームがしたいな」と思って始めた今作。


ついついBADを多く書いてしまったが、ゲームとしての完成度はかなり高い。やり込み要素も多いし、一度好きになれば暫くはやり続けられる。自分は二週したし、とても面白くて大満足だった。ストーリーには捻りがないが、まあ王道という事で良しとしたい。


ただ、前述の通りとにかくストーリーは「主人公とヒロイン」と言うより「リタ」が中心になって回るので、リタが全く受け付けられない人には厳しいかも知れない。自分は色々言いつつ何とかスルー出来たので良かったが、あのキャラは嫌いな人は本当に嫌いだろうから注意が必要かも知れない。逆に言えば、リタを好きになる事が出来れば素晴らしいゲームになると思う。

メインストーリーを進めるだけなら割と普通のRPGだが、サブイベントには妙な嗜好の物がいくつかある為、そういうのが苦手な人はあまり深くやり込まない方がいいかも知れない。

   
プレイ時間:100時間以上(クリア済)
もさもささん  [2012-02-14 掲載]

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総合ポイント
73
(難易度)
2.03
レビュー数
101
スコアチャート テイルズ オブ ヴェスペリアレビューチャート

テイルズ オブ ヴェスペリア 購入する
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60-69
24.8%
70-79
24.8%
80-89
5%
90-100
【60点以上】
75.2%
【標準偏差】
16.38