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【PS3】プロ野球スピリッツ6

発売元 コナミデジタルエンタテインメントオフィシャルサイト
発売日 2009-07-16
価格 7980円(税込)
レーティング 【A】全年齢対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:野球
■ プレイ人数:1〜2人



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
4pt 3pt 4pt 5pt 5pt 4pt 2pt
総合点
89pt

GOOD!

この手のゲームは前作を買っていると、どうも手を付けづらいものでして。特にこのゲーム、公式ページを見ても一体何が変わったのかが非常に分かりづらいゲームであります。
そこで当レビューはこの過去作との比較という論点を中心にレビューしたいと思います。
あ、もうひとつ。先に断言しておきますが
(1)プロ野球好きで(2)PS3を持っていて(3)このシリーズを未プレイの方
は、もう何も迷う必要はありません。レビューを覗きに来るくらい気になっているソフトということなので、買ってプレイしてもらったほうが早いと思いますw

◆試合部分
この項では今作大きく変更された操作性をレビューの中心に据えて「バッティング」「守備走塁」「相手COM」の三点からシリーズにおける今作の立ち位置を探っていこうと思います。

【バッティング感覚】
過去作と比べて、明らかにミートカーソルが小さくなっています。前作はコツさえ掴んでしまえばバッティングはだいぶ簡単だったので、それを反省してのことでしょう。ミートカーソルが小さくなった上に強振の当たり判定が相当シビアになっていますので、バッティングは相当難しくなったと言えましょう。
逆にミート打ちの当たり判定がだいぶ緩和されていて、コンパクトに当てていくことがより大切になりました。
当たり前のことなんですが、実際の野球では全打者が全ての打席で強振するということはありません。しかし強振絶対優位はもはや、パワプロ時代から続く野球ゲームの常識。ミートが大きい選手=ヒットの打ちやすさではないのも常識。このゲームは違います。対人戦にして、強振にしてくれたほうがありがたいなんてこともざらにあります。
更に特筆すべきは、しっかり捉えた当たりがしっかりヒットになってくれること。強振におけるゴロとミート打ちにおけるフライはどの野球ゲームでも圧倒的に不遇なのですが、そんなことは全くありません。おかげで「捉えてるはずなのになんでヒットになんねぇんだよ」といった不満はだいぶ減ったと思います。
ずいぶん長くなっちゃいましたけど、これがとてもしっくり来るバランスなんですよ。初心者の方はもちろん、経験者でも今回のバッティングはちょっと難しいと思いますが、トライしてもらう価値は十分にありますね。

【守備走塁】
バッティング感覚は文句なしの調整なのですが、もしかしたらこの守備走塁といった部分は賛否が分かれる部分かもしれませんね。私は多いに肯定派なのでgoodの欄に書くことになりますが、もしかしたらBadの欄に書かれる方もいらっしゃるかもしれませんね。
「ウイイレvsFIFA」論争でもそうですが、リアリティーを取るのか操作性を取るのか、というのはかなりコアな部分でして。リアリティーか操作性か、当然どちらに偏りすぎてもいけないわけですから、製作者陣はその落し所を探るわけです。それが今作ではリアリティーよりに傾いている。そんな状態です。なんとなく想像できましたでしょうか?
守備走塁の大きな変更点は大きく三点です。

・守備能力の個性化
正確に言えば守備能力が選手ごとの能力値に大きく拠るようになったということです。送球の値が高ければ送球が素早く正確になり、捕球の値が高ければ球際に強くなり、肩力が強ければ送球のスピードが早い、といった具合に。当たり前なんですけど今回はそれがだいぶはっきりと現れるようになった、ということだけです。
従来までならパワプロに代表される野球ゲームは、打球に追いつく=捕球が当たり前のようにまかり通っていました。しかし、現実では打球に追いつくだけでは捕球は出来ません、グラブを差し出す必要があります。
例えば三塁線への痛烈なゴロ。いままではほぼ確実に捕球されていましたが、今作にそのようなことはありません。もちろん、中村紀・小谷野・今江・宮本クラスの内野手なら話は別ですが。
また、これらの変更は内野安打のチャンスを広げることにもつながってます。バッターランナーの足も早くなってるので、イチロー選手が完全にチートです。ショートが少し右に動いただけの当たりでも、ファーストベースまであと一歩。高く跳ねたピッチャーゴロでも内野安打。ピッチャーファーストセカンドへのボテボテの当たりでも内野安打。もうどうやって打ち取れば(´・ω・`)しょぼーん

と。ここまで肯定的に書いてますが、従来の野球ゲームをプレイしてきたプレイヤーにとって、これらの変更は否定的な要素に写るかもしれません。守備がもっさりしてるといった感想も珍しくありません。
ただ重ねて言いますが、僕はこのバランスに肯定的です。選手の守備の上手い下手がより分かりやすい形で現れることは、守備固めの有意を実感できると思いますし、多少打てないことが分かっていても高い守備能力を持つ選手をスタメンで使ってみたくもなるのです。旧来の野球ゲームにそんなことがありえたでしょうか。

【相手COM】
ヒットエンドランが上手くなってます。セカンドを動かしてその空いたセカンドを抜いてくるとか、三盗はないだろうと高を括ってたら見事に決められるだとか。今回の走塁はガチで強いです。
相手COMのピッチングが地味に上手くなってます。緩急・高低・内外・ボール球を上手く使ってくることも多いですし、コントロールのいい選手になるとベストピッチが本当にコーナーのいっぱいいっぱいに決まります。
今回の最高難易度スピリッツは前作よりダントツに強いので、ぜひお試しください。オンラインもいいけど、オフラインも悪くないです。
このシリーズは全体的に相手COMの完成度も評価されるべきだと思いますね。今回はその中でも特に良いです。

【その他】
試合のことで書ききれなかったことを少し。
・打球音&捕球音の改善
投球がミットに収まる音と打球音が改善され、ちょっと乾いた感じに。悪くないです。改善と呼んで差し支えないでしょう。
・リプレー
前作と比べればまさに雲泥の差。テンション上がります。
・スタミナが減りやすく
130球140球も投げられるのはスタミナAクラスだけ、という現実的なバランスに。
・アーティストの優遇
パワーヒッター>ラインドライブ>>>(超えられない壁)>>>アーティスト
だった打撃スピン系能力ですが、もうそんなことはありません。アーティスト強いですよ。
・com用投手起用設定画面の改善
全体的に分かりやすくなりました
・特殊能力の細分化
選手の個性化を進める製作者陣の方針は間違ってないと思います。
・バントの二塁封殺
バントもバントシフトなら二塁封殺が可能になりました。
・三盗の成功率
前作では盗塁能力の高い走力20が「GREAT!」を出してもかなり刺されてました。やるべきことをやれば結果がついてくるということです。
・盗塁
ランナースタートを示す「GREAT!」の文字の表示がだいぶ遅れてくるので、ランナーのスタートを見てからボールを外すといったことは非常に難しいです。細かいですけど、いい変更ですね。
・対戦でも一軍選手の投手・野手比が変更可能
従来であれば投手12人野手16人は固定でしたが、変更可能です。細かいですけど、本当に気が利いてますね。
・ダイジェストプレイ
パワプロでいう高速試合の「超高速」に当たります。分かりやすくて使いやすいので、機会があれば使うのが良いと思います。
・監督モード
今作より、対戦モードでも監督モードが選択可能に。単なる観戦モードよりも試合に介入できる感じが良いですね。このことはオンラインモードの項で詳しく説明したいと思いますね。

◆WBCモード
これ、一応目玉なんですよね。僕はこのゲームの売りはあくまで「ゲームバランス」だと思っていますが、これを目当てに購入される新規さんもいらっしゃると思うので、軽くレビューを。
固有モーションはだいぶ増えてます。具体的に言えばWBC用の投球フォームは30個、打撃フォームは27個。選手能力も、出来ることを出来ないこととする「パワプロ式査定」ではなく出来ることから判断する「プロスピ式査定」で上手く査定した感。

国際試合の雰囲気は十分出てますし、前述の通り試合バランスがいいゲームなので、これを目当てに購入される方も後悔はしないと思います。

◆オンラインモード
プロスピオンラインはかつてなく盛況してます。あまりの人気に新たに一つサーバーも導入されたり、盛況すぎてサーバーが落ちるなんてことも。酷い過疎状態だった従来のオンラインモードから比べると十数倍の人気。
さて、アクションモードは通常の試合とあまり変わらないので、ここでは新たに導入されることになった今作の目玉の一つ「オンライン監督モード」について詳しく述べていきたいと思います。

・一からチームを作る楽しみ
基本的に試合を重ねるごとにポイントが貯まり、そのポイントでランダムの選手カードを購入、チームを強化というのがこのモードの基本的流れなのですが。レアカードを引く確率は相当低く、序盤はだいぶ苦しい戦いを強いられます。
そこで、超レアカードを引いたとき、このゲームには大体二つの選択肢が用意されています。
一つはその選手をチームに組み込んでチームの強化を図ることと、もう一つ。選手に自由に売値をつけて売り出すことです。レアカードであればあるほど、高値でも買い手がつきますので、そこで得た収益でカードを購入しチームを満遍なく強化するという遊び方が可能なのが、このオンラインモードの最大の特徴となっております。まー、これが中々面白い。オンラインRPGでは使い古されたアイディアながら、それを野球ゲームに組み込もうと考えた政策陣に拍手。

・采配
盗塁やバントやエンドランなどの基本的な采配に加えて、イニングチェンジごとに攻撃or守備の方針を決める必要があったり、選手一人一人にその打者・打席に際しての方向性が指示できます。
悪くはないんですけど、単なるジャンケンになってしまってるのが残念。これはBadの項で詳しく述べます

廃人になれます。僕なんかは気づいたら七時間くらいやってました。不満も多いですけど、PS2よりも1000円高いだけの価値はあると思いますよ。

◆スターダム
あまり期待しないほうがいいですが、期待せずにプレイする分には面白いかも。本当にそれくらいのものです。
最初は楽しいんですけどね。
詳しくはBadの項で。

◆グラフィック
前作までの過大だったマッチ棒みたいな足の細さは解消されました。守備モーションも打撃モーションも思いのほか増えてるので、確実に進化はしてると思います。
顔自体は上手く似せてると思いますし、前作よりも表情に繊細感があります。グラフィックは三歩前進、といったところでしょうか。

BAD/REQUEST

◆グラフィック
こういうのもなんですけど、PS3のグラフィックとしては「悪くないかな」レベルだと思うんですよ。
前作よりは確実に進化してるとは思いますが…。PS3のゲームを既に多く経験なされている方は少々ガッカリされるかも。
打席やデモシーンだと、あまり感じませんが。守備のロング画面だとまだまだドットが見えてしまうんですよ。

◆試合部分
徹底的に煮詰められたバランス。完璧か。そうではない。

・オートプレイにおけるゲームバランス
先述の通り、自分でプレイする分には完璧な試合バランスです。が、COMvsCOMの試合バランスはかなり未熟と言わざるを得ません。
要因としてはいくつかあると思いますが
1)打球が現実的ではない
キャッチャーゴロが多かったり、外野を越える長打がなかったり、打球のバリエーションとその打席の結果にだいぶ偏りがあります。対人戦や対COM戦ではあれほど完璧だったゲームバランスが完全に崩壊しています。
2)能力によって差が出ない。
強打者タイプはめっぽう打率が低かったり、本当にどうしようもないです。
特にオンライン監督モードではパワーが低くても、平気でスタンドに持っていかれるためにミートが低くてパワーの高いバッターとか単なる足手まといにしかなりません。小坂と中村剛なら小坂のほうが打つような気もするくらいです。
3)オートペナントでも同様
パワプロのオーペナは非常に安定感のある成績になって現れますが、プロスピのオーペナは全く期待できません。

プレイツールとしては非常に優秀なプロスピ6ですが、観戦ツールひいてはオートペナントにおいてのゲームバランスは完全に崩壊しております。
オンラインの監督モードはオンラインゆえの楽しみがありますが、オフラインの監督モードは到底遊べるような代物ではありません。

・監督AIが…
COMは監督を除いて完璧です。

・キャッチャーゴロ出過ぎ
COMはキャッチャーゴロなんて打ちません。打つのは人間の我々です。悪いのも我々です。しかし、現実ではキャッチャーゴロなんて滅多に出ないのも事実。5では上手く調整背荒れてたので、上手くできそうなものですが。

・成績表示が…
プロ野球ゲームなのに、ゲーム画面に打率や成績が表示されてません。野球ほど数字見てニヤニヤするスポーツもないというのに。この変更はあまりにも残念。
プロスピ6「三大失策」のうちの一つ。

・セレクトボタンが…
従来であれば、セレクトボタンを押せば各打者の前打席までの配球が見られましたが、今作では見られません。
これがプロスピ6「三大失策」のうちの二つ目。

・その他インターフェイス周り
起用画面においても細かく不便になってます。

・バグが…
プロスピ3以来のバグ全開。
これがプロスピ6「三大失策」のうちの三つ目。

6はインターフェイス面では結構劣化してます。実に惜しい。

◆オンライン監督モード

このモード奥が深いようであって、実際はあまり大したことはない。単なるミニゲームです。高度な心理戦や采配を心行くまで堪能できるゲームじゃないですよ。

・采配システムが単調
もう少し「采配によるところ」を作ってくれたら面白かったんじゃないかなあ。もちろんこれは勝負事。運が大切なのも分かりますけどね。もうほぼ運じゃないか、と思うことも。

・ヒットエンドラン&バスターに有効な手立てがない。
采配システムでは奇策が徹底有利。
奇策とは隙を突いてこそ効果があるもの。分かりきった(高い効果の)奇策が成功するというのでは、リアリティーのかけらもありません。

・決まりきったスタメン
各球団の若手成長株ですら三十試合ほど起用してやらないと成長しません。しかも爆発的に成長するわけでもありません。例えば、中田翔を一人前の四番として起用できるようになるには何百試合と必要となるでしょう。
オンラインモードでは初期能力の高いベテランのほうがよく起用されてる感じです。よって強いスタメンがほぼ固定されてます。とても残念。

・アイテムカードの形骸化
オンライン監督モードではSCというポイントを使用して、アイテムカード(試合中さまざまな補助効果が期待できる)が購入できるのですが、高すぎます。

よく見るとやっぱりこれはミニゲーム。総じて、まだまだ煮詰める余地はあると思います。

◆WBCモード
試合をこなすだけのゲームなのに、単純に面白いのはこのゲームの完成度が高いからだ、という話はしましたが。それでも不満点は多少あります。

・WBCモードは完全独立
大人の事情ってヤツです。メジャーリーグの権利を持つパワメジャでもそうでしたので、こればっかりはどうしようもないんでしょうね。

・小回りが利かないシステム
エキシビジョンであれば、球数制限やタイブレークの有無くらい自分で設定したかったものですね。

・球場が一つしかない
権利の都合上――という言葉は免罪符にはなりえませんね。架空にしても、新しい球場を増やすという考えはなかったのでしょうか。

・観戦モードやダイジェストプレイが使用不可
WBCでは観戦も監督モードも(本作の売りであるはずの)ダイジェストプレイもできません。非常に残念。

◆スターダム
実在選手になりきってプレイすることや、複数年プレイして歴代記録に挑戦といったプレイスタイルを捨てて、一年というタームをより濃い密度でプレイしてもらおうというのが今回の基本スタンスのようです。しかし5と比べて、スターダムが進化したかといわれると微妙ですね。
プレイ自体は非常に単調です。これを目的に買われる方は一考の余地があるかと存じます。

◆その他細かい不満
探せばいろいろあるのですが、

・装備品がちょくちょく間違ってる。
僕は気にしないのでいいんですが、装備品エディットみたいなのはつけてもいいのではないでしょうか。

・応援歌作成モード
パワプロでは追加されている掛け声や鳴り物のパターンが、プロスピでは導入されていません。ちいとガッカリ。
最高音がHiF♯までなのも残念。無論、転調すればいいんですけど。

・パスワード
いつまで前時代的なものを使うつもりなのだろう、という疑問。
せっかくサーバーが3つもあるのだから、一つくらいユーザーによる応援歌や選手のやり取りに使わせてくれたってバチはあたらないと思うんですけどね。

・選手エディットがなくとも
オンラインもありますし、エディット諦めてます。だけど、若手選手くらい覚醒したらもっと強くしてあげてください。
現状の覚醒システムは強くなるのみなので、選手を弱体化するシステムも欲しいですね。

COMMENT

このゲームは高いレベルで安定していますが、だからこそ細かいしょーもないことが多く気に掛かります。
だからといって、作りこみが甘いとは思いません。我々の不満の殆どは人海戦術にのみ解決されるもの。これらの不満点は作り手の熱意やクリエイティビティーの高さを直接否定する要素にはなりえないかと存じます。

最後に。一応、採点基準のほうを。
【オリジナリティー】…4
難解すぎず、単純すぎない絶妙なゲームバランスとその操作性を評価して、シリーズものながら4をつけさせていただきました。
【グラフィックス】…3
悪いというほどではありませんが、良くもありませんので3をつけさせていただきました。
【サウンド】…4
全体的によく作りこまれています。BGMも悪くないですし、細かい音声データも多数収録されているためサウンドは4をつけさえていただきました。
【熱中度】…5
新規導入されたオンラインモードやWBCモード。新たな要素を加えたスターダムモードなど多くの遊び方が用意されているという点で5をつけさせていただきました。
【満足感】…5
多くの遊び方がある上、試合そのものが魅力的であるという部分を評価して5をつけさせていただきました。
【快適さ】…4
前作と比べて、インターフェイス面で劣る部分が多いものの、ロード時間の短さや個人に合わせた多彩な操作方法などを評価して4をつけさせていただきました。


非常に長文レビュー失礼しました。

   
プレイ時間:60時間以上100時間未満(クリア済)
4everさん  [2009-08-06 掲載]

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総合ポイント
76
(難易度)
2.27
レビュー数
26
スコアチャート プロ野球スピリッツ6レビューチャート

プロ野球スピリッツ6 購入する
0%
0-9
0%
10-19
3.8%
20-29
7.7%
30-39
0%
40-49
11.5%
50-59
15.4%
60-69
19.2%
70-79
26.9%
80-89
15.4%
90-100
【60点以上】
76.9%
【標準偏差】
18.9