【PS4】ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて
発売元 | スクウェア・エニックス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2017-07-29 |
価格 | 9698円(税込) |
レーティング | 【A】全年齢対象 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:RPG ■ プレイ人数:1人 |
- 総合ポイント
- 72
- (難易度)
- 1.31
- レビュー数
- 29
スコアチャート
GOOD!
勇者とは何かについて集大成らしく一応の結論を出すことになる物語自体や世界観について言えば、かなり気合が入っていると思える。
据え置きでの前作となるドラクエ8も当時としては1級品の演出力を発揮出来ていたが、本作の演出、魅せ方の進歩も決して8に劣らない。
ただ、8の場合は世界マップやその広がりそのものにアイディアを反映させていたのに対し、本作では個性溢れる(かつ決して嫌味を感じさせない)キャラに溶け込む演出、楽しさあり山場ありのバラエティ溢れる城町村や高所から見渡す絶景といったミクロ面でその秀逸さが光る。
そして、本作ではこのPS4版において感動に溢れるミクロな演出の数々が煮詰まって見える。だからこそ、芸術面での評価が高いのだ。
この辺、旧来の魅せ方から抜け出ていなかった故に「ハッタリ」という印象を与えた8を、明らかに超えているところだ。
8を上回っているといえば、もうひとつ重要なのは、「物理特技万能説」或いは「魔法不要説」を払拭したことだ。
魔法の利便性という意味ではシリーズ最高。
それだけではなく、近作は特技一辺倒で進めるような作りだったが、本作ではそのマズさを踏まえていたのだろう、
戦闘における物理・魔法の切り替えポイントを相当数用意しており、魔法を使えば明らかにラクができる箇所も多い。
このことによって、「モンスターの分析・判断による攻撃の使い分け」という、ドラクエの醍醐味が見事に復活した。
さらに、このPS4版ではターン制の違いにより俗に言う色物「オネエ」キャラであるシルビアが独自の有能なキャラに化けていることだ。
ただし、ロウは弱いまま。MPがあり余るこのゲームでMPパサーの必要性もない。唯一の見せ所は加入する前のNPC時。
PS4版ではゲームバランスが少なからず変容。行動者のターン制になったことで、少なくとも序盤の難易度は一段と下がることになった。
例えば、序盤にしてこのゲーム1,2を争う難所と言われているアラクラトロはPS4版ならレベル10台後半で何とか渡り合う事が出来る(3DS版だとレベル20は必要)。他にもホメロス(一回目)やクラーゴン等もPS4版の方がハッキリと弱い。
反対にゾーン技や全体回復については条件が厳しくなっており、おかげで後半の難易度においては3DS版と同じぐらいか部分的に若干上ぐらいになっている。
PS4版では後半のブギーやキラゴルド、ガリンガ等もなかなかの強敵。
3DS版は「序盤だけそこそこ難しい」という構成だったが、結果として歪なバランスが幾分改善されたのではないか。
BAD/REQUEST
ゲーム全体のバランスをウリにしているドラクエとしては「偏った印象」を受ける
ボスキャラの純粋な戦闘力だけなら、ハッキリ言ってシリーズ最弱と呼ばれる9の軍団に少し毛が生えた程度だが、その分、ボスの見せる搦め手の数々が、その戦闘力の弱さをカヴァーするかのような激しさを持つ(アラクラトロのメダパニーマやブギーのギガマホトラには、本当に泣かされた)。
そして、本作の中ではこの傾向にある場合が多過ぎる(例外を挙げるとすれば、人食い火竜やガリンガぐらいか)。
ドラクエの場合、本作の特徴となるものも含め、多彩な難易度の構成を見せていた。そして、それが「次のダンジョンや中ボスはどういう風に難しいんだ? それとも簡単なのか?」との期待を煽り、プレイヤーの高揚感を誘っていた。
ところが、本作ほど偏っていると、そのような昂揚を味わうのが難しい。仮に、上述の期待を抱いていたとしたら、ガッカリさせられる危険性がある。
また、全体のバランスについても不満がある。3DS版よりも序盤の難易度が落ちた結果あるべき状態には近づいたものの、総合的にはクリア後や裏ボスも含め、序盤と終盤で殆ど難易度が変わらないのが本作だ。
流石に斯様な道程では手応えをあまり感じられない。つまり、ゲームバランスはシリーズの中でもあまり良くない部類に入ってしまう。
そして、本作において「本格的におかしくなって行った事」はゲーム構成です。確かに「時間」を主軸に置いた物語展開自体は斬新な試みだったとは思いますが、その分「場所、舞台」は拡がっていかないというデメリットが生じる事となったと思います。
発売前に全体マップを始めて見たとき既に嫌な予感がしてたが、峡谷に挟まれた一本道だらけで、肝心の自由に旅をする感覚は大きく失われている。
そしてムービーでのイベントシーンが多く、見せ方において一時期のFFと見紛うくらいだ。
それでも、まだこのドラクエ11では寄り道要素であるクエストや楽しいミニゲームであるカジノ等横道的に楽しむ要素はないわけではないのですが……
つまり、前述の「おかしくなった」事とは「プレイヤーの目を引く、新要素を盛り込むのはいいが、その為に見方によっては退歩だととられかねない制限を課せられてしまう。」というジレンマに「ドラクエ」という名作ロールプレイングゲームシリーズも嵌っていく事になっていったという事なのです。
このため、せっかくの物理攻撃と魔法の使い分けのバランス面や、物語、世界観におけるドラクエ8からの改善点が生かされていないように思えるのが惜しい。
「偏っている」という、あまり歓迎できないであろう感想も、恐らくここから来ているのではないかと思う。
COMMENT
良い点に挙げた2点は、DSPSP3DSと永らく続いた携帯機の時代がPS4Switchという据置機主導へ交代しようという時期であり、そして両代表ハードに超大作を作ることになった狭間期にあってなお、作品(シリーズ)を進歩させる気概を抱き続けたスタッフの姿勢を反映しているように思える。
そして自分は、彼らに対して大いなる敬意を払いたい。
一方、気合の入っていない箇所に関しては、本当にどうにかならなかったのかと感じられて仕方がない。
そのいい例が、上述の悪い点の通り要所要所で戦うボス戦の単調さだ。きつい物言いになって申し訳ないが、本作のボスは歴代ドラクエの中で最も面白みを感じられなかった。
ボスのやってくることが読みにくい搦め手ばかりだから、(アビリティの使い分けの豊富さにも関わらず)戦略もゴリ押しがちにパターン化されてしまう(選択肢の割にゴリ押しがちな戦略は9にも言えることだが)。
工夫こそ見られたもののバランスが悪い。3、7、8と同じ「道中ボスよりラスボスの方が簡単」という事態も再発してしまっているのだ。
ラスボスについてはもはや語ることはありません(笑)。シリーズ1,2を争う弱さと思う。(もう一人は9のエルギオス)
そのため、本作のボス戦には、前半は退屈さを、後半は違和感を抱き続ける羽目になってしまった。
クリア後も同様に「搦め手ばかり使ってくるそこら各地の中ボスより裏ボスの方が簡単」。
しかも、裏ボスに対しては敢えて弱体化アイテムを用いない意図的な強化を行えるのだが、こちらはステータス面からして3DS版の方が圧倒的に強い。元々、3DS版には追加のダンジョンやボスがあるのに、だ。
これはつまり、3DS版でさえ乏しかったエンドコンテンツが益々乏しいことを意味する。
逆に、低レベル低スキルクリアを目指しても、仲間メンバー加入の仕様上、平均レベル34ぐらいが物理的な限界である。
ここまでやり込みをしようと思わなかったドラクエは、過去に無い。
本作に対しては、秀逸な箇所と首を捻らされる箇所が混在している印象を受けるが、これは、最後まで良きものを探究し続けたがゆえなのかも知れないし、力を一点に集中しすぎた結果なのかも知れない。
だから、自分が本作に対して抱いている感想は、かなり複雑なものとなっているのだ。
よって、評価は普通点とさせていただこうと思う。