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【PS4】仁王

発売元 コーエーテクモゲームスオフィシャルサイト
発売日 2017-02-09
価格 8424円(税込)
レーティング 【D】17才以上対象 暴力 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon(CompleteEdition版)
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:ダーク戦国アクションRPG
■ プレイ人数:1人(オンライン:1~2人)

【CompleteEdition版】
本編にDLCを収録した商品です。
■ 発売日:2017/12/07
■ 価格:6,264円



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
3pt 3pt 3pt 4pt 5pt 4pt 3pt
総合点
80pt

GOOD!

「強者の道(2周目ハードモード要素)」30%程度達成、プラチナトロフィー取得済みです。


【お手本のようなゲーム設計】
 何もない素手の状態から始まり、序盤に「残心」や「構え」の基本を覚え、中盤には武器固有のスキルが使いこなせるようになり、終盤になると武器固有の奥義に忍術・陰陽術を組み合わせることで敵を蹴散らし、強くなったことを実感できる……そうした全体の「攻略体験」の設計がお手本のようです。
 そして、その強くなったプレイヤーを再び「死にゲー」の現実に連れ戻す、本編クリア後のボス2体同時相手のミッションや、高難易度化したハードモードの「強者の道」。プレイヤーを飽きさせません。
 また、マップ設計も「ここに敵が隠れてそう → いる」「ここに宝箱ありそう → ある」に応えており、ゲームらしくて高評価です。そして、その予想があたったことに喜んで油断すると罠に引っかかるというゲーマーへの気遣いも忘れていません。セーブポイントである「社」へのショートカットも、こことここがつながるのか!というアハ体験があり、ダークソウルシリーズのゲーム性のコアな部分をしっかりと反映しています。

 「死にゲーだが、理不尽にはしない」という開発者のインタビュー記事を見ましたが、まさにその通り実現されたと思います。


【アクションが爽快】
 アクションの反応が素早いです。先読みして動かさなければいけないというより、その場の反応でなんとかできるようになっています。カウンターアクションも、武術的な動きでカッコイイ。居合も数種類用意してあります。残心を駆使して、スタミナを維持しながら「ずっと俺のターン!」を味わったり、九十九武器という必殺技でごり押したりと、難易度の高い「死にゲー」でありながらも爽快感を感じる部分が多々あります。


【かわいらしい日本的なセンス】
 マスコットキャラ的な「木霊」や守護霊のかわいらしさはいわずもがなですが、「ぬりかべ」「ムジナ」のようにジェスチャーを使ったミニゲームで「妖怪と心を通わせる」というのは日本的なセンスだと思います。一つ目小僧や唐傘お化けなどは、モーションもそれらしくしてあり好感です。暗い雰囲気でありながら、癒やされます。
 神道の一霊四魂的な説明や、分霊によって守護霊を入手するという点でも、和の雰囲気を崩さない工夫がされています。日本文化紹介という意味でも良かったのではないでしょうか。


【歴史アレンジで、上手くキャラ立ちさせてあるストーリー】
 家康の非情さとその裏の苦悩を見せない態度、鳥居元忠の最期、陰陽術の重要人物の正体、黒人武将ヤスケにまつわる伝承、そして信長の去り際のセリフなど、フィクションとしてアレンジしながらも、キャラ立ちするようにしてあり、それぞれのキャラクターに好感を持ちました。こうしたキャラ要素やストーリー要素は、ゲームをプレイするにあたり期待していなかった点でしたが、意外にも良かったです。


【やりこみ要素にも報酬あり】
 2番目のステージである中国地方篇では、3つあるマップギミックを達成すればするほどボス戦の難易度が下がるというものがあります。ひとつも達成しなくてもボスは倒せますが、その状態で倒した場合には特別な称号がもらえます。また、メインミッションのそれぞれのボスをノーダメで倒した場合は「◯◯に完勝せし者」という称号がもらえます。こうした、やりこみ・制限プレイに応える要素がちゃんとあるのには驚きました。(これらをトロフィーにはしなかった点にも、配慮を感じました)
 ボスや雑魚も何度も倒すと、図鑑が埋まっていくようになっており、そのあたりでも目標管理のシステムがしっかり用意されています。プレイ統計も、かなり細かいところまで確認できるようになっており、ユーザー目線であることを強く感じます。


【装備の検討が面白い、ハクスラ要素が活きている】
 防具の軽装と重装のメリハリがしっかりしています。回避とスタミナ面で有利になる代わりに妖怪相手で一撃殺されたり攻撃を中断されやすい軽装と、それとは逆に妖怪相手ですら殴り合いのダメージ交換ができるスーパーアーマー付きの重装となっています。
 装備の揃え効果(セット効果)は、中盤以降に遊びやすくするものですが、それぞれがユニークなものになっています。完全セットを揃えるだけでなく、中途半端にいくつかを組み合わせても有効で、どの装備にするかを考えるのが面白いです。
 また、装備に付く特殊効果も面白く、この手のハクスラ要素がこんなにもダークソウル・ルールのゲームに合うとは思いませんでした。

BAD/REQUEST

 完成度が高く不満が少ないというのが、このゲームの特徴だと思いますが、いくつか気になる点があります。

・ 敵の種類:戦闘頻度が高いため、敵が代り映えしない感がある。
・ マップのバラエティ:全般的に暗く、小物などを含めた色彩が単調で、また狭い場所が多いため、似たようなマップを何度もやっている感が強い。
・ お金と一部の妖怪のレア素材、製法書は集めやすくてもよかった。

 ハクスラ要素があるので戦闘回数の多くしないといけない点で敵の種類が少なく感じてしまうのと、マップのバラエティは時代やハード性能の制約を受けるので、これらは仕方のない部分だとは思いますが、DLCで目線の異なるものが用意されることを期待します。

COMMENT

総評に行く前に2点ほど言及しておきます。

【マルチについて】
 最初は救済要素なのかなと思っていましたが、これは稼ぎ要素ですね。ステータスリセット用のアイテムに代表されますが、お金で買うよりマルチ報酬である武功を消費して入手するのがお得なものがたくさんあります。現状はあくまで、おまけ要素で、特筆する部分でなかったかなと思います。
 今は共闘しかありませんが、今後、PvPが実装されるので、そのとき、どうなるか見守りたいと思います。


【意外にもオリジナリティを感じた】
 「ダークソウルのパクリである」と言われます。確かに、様々な面でダークソウルのルールに従っています。さらに言えば、最初のマップはロンドンなので、手に入る武器も洋風のものであり、仁王独自要素が全く開放されていないため、間違いなく「ダークソウルのパクリ」です。
 しかし、日本に到着し、ステージを進めれば進めるほど「仁王」の独自性というものが、アクション性・ゲーム性・ストーリー性の様々な面で目立つようになります。最初のロンドンのノリのままであったら、オリジナリティの得点は1点だったと思いますし、満足度そのものも低い結果になっていたと思います。


【総評:丁寧にゲームらしくまとめられた優等生】
 「死にゲーだが、理不尽にはしない」というコンセプトが、しっかりと作品として花開いたという印象です。
 その副作用で、プレイヤーに手札(攻略法)が揃ってくる中盤以降は、体感の難易度が下がってきますが、これは開発者側としても狙っていたように思います。1周目が「サムライの道」、クリア後のハードモードが「強者の道」と名付けられているのは、そういうことなのだと思います。
 プレイ統計や妖怪図鑑・称号のシステムなど、「こんなところまで考えて作ってあるんだ」と、ゲーマーとして非常に嬉しく思いました。スキルを取得する際に、動画でそのスキルが説明されているのも、素晴らしいと思います。開発陣のゲームに対する愛や理解の深さ、遊んでもらいたいという思いが伝わってきました。

 時代を作るような、フォロワーがたくさん生まれるような、そんなGOTY級のゲームであるとは言いません。また、尖ったゲーム性で、不満を覆い隠すほどの優れている部分があるタイプのゲームでもありません。丁寧に、またゲームとして遊びやすく楽しみやすく作られているお手本のような作品だと思います。

   
プレイ時間:100時間以上(クリア済)
十年一剣さん  [2017-03-11 掲載]

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総合ポイント
78
(難易度)
3.42
レビュー数
19
スコアチャート 仁王レビューチャート

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10-19
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20-29
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30-39
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40-49
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50-59
21.1%
60-69
21.1%
70-79
36.8%
80-89
10.5%
90-100
【60点以上】
89.5%
【標準偏差】
12.58