【PS4】HOMEFRONT the Revolution
発売元 | スパイク・チュンソフト (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2016-05-19 |
価格 | 8618円(税込) |
レーティング | 【D】17才以上対象 暴力 犯罪 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:オープンワールドFPS ■ プレイ人数:1人(オンライン:2~4人) |
- 総合ポイント
- 19
- (難易度)
- 3.00
- レビュー数
- 5
スコアチャート
GOOD!
圧政を敷く支配者をぶっ殺し、施設を破壊し、のっとり、鬱屈させられた人々を解放していくというカタルシス(ストーリーの整合性や、リアリティの欠如は凄まじいが)。
武器、装備品の潤沢なアップグレード、および、カスタマイズの幅(それによって生じるメリット、戦略的優位はさておき)。
アクティブなレッドゾーン、ステルス重視のイエローゾーンというエリア毎の区画分けによって、プレイにメリハリをつけようとしている(そのメカニックがうまく機能しているかどうかは別問題だが)。
死ぬほど下らなかった前作よりは多少マシになっている(あくまでマシというだけで、一般的なシューターのクオリティには到底届かないが)。
殆どのサウンド、BGMは三流以下の出来であるが、マークスマンライフル、バトルライフルの発射音だけは破壊力を実感できて心地よい。
あとは、ええと、まあ、合衆国が宇宙人以外に支配されるってのは斬新なんじゃない? ましてや北朝鮮に。説得力があるかどうかは別として。
BAD/REQUEST
史上稀にみる最低最悪のフレームレート。
コンソール機で不安定なうえ、ゲーミングPCでも大したグラフィックでないくせにFPSが安定しない。
愚かすぎるAI。
守ってやってんのにやたらと前線に出る上勝手に死に、ましてや射線に出てきて銃撃の邪魔をするなど、私は一体何十年前のゲームをプレイしているというのだろう。
ちょっとぶつかっただけで悪態をつかれ、狭い通路でバリケードになる民間人は守り鼓舞すべき存在というより、ただの邪魔もの、敵より憎き邪悪の化身としか思えない。
テレポートを駆使する敵。
今までいなかったのに、後ろを振り向いた瞬間敵がスポーンしたり、それどころか前進している目の前でスポーンすることがあり、なんだかGTAVの警察とやり取りしていると錯覚するくらい理不尽に敵が湧く。
噛み合わない設定とビジュアル。
支配され、抑圧され、暗い世界の中なのに、なぜか銃のカスタマイズは無駄にカジュアルでファンシー。銃のパーツにチャームをつけたりなど遊び心、お茶目心あふれ、世界観とマッチしてないと感じた。
抑圧に対する反抗としてパンク魂を取り入れていると考えれば理解できなくもないのだが、テロ、ゲリラ活動が彼らにとっておふざけのようにしか見えない演出は、まるで学生がデモ運動をしているような滑稽さを思わせる。
不条理で荒唐無稽な物語。前作からの引き続きではあるが。
ナチスドイツ、大日本帝国、旧ソ・ロシア、中東、イスラム圏、地獄の悪魔、あらゆるものを敵国としてきた合衆国が、まさかよりにもよって北朝鮮に支配されるなど、そもそも大前提として資材も人材もなく、土壌が貧しく作物さえまともに育たない北朝鮮が技術大国になるなど、南アフリカの治安が先進国並みに安定するよりあり得ない。
物語に過剰なリアリズムを求めるのもいかがなものかとは思うが、本作の設定はあまりにも常軌を逸しており、未確認生命体や外宇宙からの侵略者のほうが、まだ超現実と割り切れる分理解できる。
脆弱すぎる主人公。
何もDOOM GUYやDUKE NUKEM(Foreverは除く)ほど強くなくてもいいが、ちょっと撃たれたり殴られたぐらいで即死するのはストレスが溜まる。前述のフレームレートと相まって、銃撃戦が(ゲーム的でなく技術的な意味で)難しいので、もう少し打たれ強くなるか、または自動回復、最低でもアーマーの実装くらいはほしいところだ。
レッドゾーンだろうが、イエローゾーンだろうがやることはほとんど変わらない。
敵の目をかいくぐって破壊工作をするだけ。イエローゾーンは市民に紛れろというチュートリアルもあるからある程度ソーシャルステルスができるのかと思ったが、そんな要素はみじんもない。走って物陰に隠れ、見つかる前にステルスキルするだけのこと。また、死体を隠したり運んだりもできないため、ステルスとして見た際の完成度の低さが際立つ。
アップグレードや装備の拡張には幅があるが、それらを入手してもほとんど主人公のアドバンテージは得られない。防御バフを購入しても撃たれ弱さはそう変わらないし(そもそもバフが手に入る後半では相対的に敵の火力も上がっている)、爆発物をテディベアに見立てたところで、それを使う機会もほとんどない。
銃に関してはARとMRさえ持っていればゲームクリアに支障はないため、いくつか種類のある他武器を使う理由は趣味か、遊び心でしかない。
COMMENT
やりたいことはわかるけど、そのやりたいことが全く機能せず、噛み合わず、あらゆる要素がプレイヤーのストレス源になるという恐るべき作品。
要はオープンフィールドで市街戦、市民の開放(抑圧からの解放はアメリカ製物語の最も主要なテーマであることだし)、カスタマイズの幅広さ、エリアによって銃撃戦とステルスの切り替えが求められる、とまあここら辺を目指したのだろうが、FPSの不安定さ、AIのバカさ、システムの不完全さなど、残念ながらあらゆる問題が発生している本作は、アーバンFARCRYとはなれず、凡百どころか劣悪な駄作に堕している。
BADの項目でボロクソに書いてしまったが、私は本作を憎んではいないし、嫌ってもいない。嫌ってもいないというと語弊があるかもしれない。嫌いになれない、と書いたほうが正確だろう。
開発や権利が二転三転し、今は亡きTHQが放った前作から5年もの長きにわたりすったもんだして、ようやく発売されたのが史上類を見ない駄作だというのは心痛しきりであるが、開発者の最後までやり遂げる精神や、彼らが目指していたものがなまじっか見えてしまうため、どうしても唾棄することができない。
ゲームの出来は言うまでもなく並以下であるが、開発者の目指した地平、プレイヤーを楽しませたいというサービス精神は他の作品に負けるとも劣らない。それがゲームプレイの随所から感じられてしまうため、本当にただの投げやりなクソゲー(たとえばRIDE TO HELL:RetributionやAvatar: The Last Airbenderなど)のように、一切の感情や擁護を抱くことなく最悪なゲームとして片付けることが難しいのだ。
正直なところ、私はこのゲームを他人に勧めることはしないだろうし、セールを待てと言う気もない。フレンドにCOOPをやろうと誘うこともないだろう。
ただ、どうしようもない本作を作った開発側が、技術の乏しさはさておき、ゲーマーを楽しませるサービス精神を持っていたということだけは声を大にしていきたいところではある。